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令和元年(2019年)8月20日(火) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

医師法の応招(召)義務の解釈に関する厚労科研報告書について概説

日医定例記者会見 7月24日

 松本吉郎常任理事は、厚生労働科学研究費で行われた「医療を取り巻く状況の変化等を踏まえた医師法の応召義務の解釈に関する研究」について今般取りまとめられた報告書の内容を概説した。
 本研究班は、いわゆる医師の働き方改革の議論の一環として、医師の労働時間を短縮できない背景の一つに「応招(召)義務」が取り沙汰されたことから、そのあり方を検討するという趣旨で設置されたものである。
 研究代表者には岩田太上智大学法学部教授が、研究協力者には松本常任理事、畔柳達雄日医参与を始め、6名が参画している。
 同常任理事は研究班の出した結論について、「診療に応じなかったことに伴う医師の責任は、応招(召)義務という概念を用いなくても、いわゆる民法上の過失の問題として議論すべきであり、医師法上の応招(召)義務を過大に取り扱うことは適切ではない、というのが研究班のスタンスである」と説明した。
 また、研究班では過去の行政通知や裁判所が示した判断などを基に、「いかなる場合に、診療しないことが正当化されるか」を一覧表として整理したことを紹介。(1)緊急対応が必要なケース、(2)緊急対応が不要なケース、(3)個別事例―の三つに分類した上で、「診療時間内・勤務時間内」と「診療時間外・勤務時間外」に場合分けし、それぞれについての法的解釈等が示されているとした。
 同常任理事は、今後の展望として、「本報告書を受けて、厚生労働省としては、特にこの一覧表を基に、応招(召)義務に関する通知を整理して発出する予定と聞いている。診療現場に混乱を招くことや患者・国民との信頼関係を損なうことなく、適切な整理がなされるよう、日医としても注視していきたい」とした。
 なお、本報告書は厚労省ホームページ(https://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=201821061A)でダウンロードが可能となっている。

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