小玉弘之常任理事は、日医の「令和2年度医療に関する税制要望」について説明した。
本要望は、会内の医業税制検討委員会で取りまとめられ、8月20日開催の令和元年度第5回理事会において決定したもので、(1)医業経営5項目、(2)勤務環境2項目、(3)健康予防1項目、(4)医療施設・設備4項目、(5)その他2項目―の計14項目からなる。
(1)医業経営
控除対象外消費税の診療報酬への転嫁は、基本診療料へのきめ細やかな配分により精緻(せいち)に行い、定期的に検証し必要な見直しを行いつつ、併せて、消費税率10%超への更なる引き上げに向け、個別医療機関に生ずる補てんのばらつきへの税制上の対応のあり方について、引き続き検討することを要望している。
医業承継時の相続税・贈与税制度については、①医療法人の出資に係る相続税及び贈与税の納税猶予制度の創設②医療法人の出資の評価方法の改善③認定医療法人制度の延長及び拡充④個人版事業承継税制の改善⑤出資額限度法人の持分の相続税・贈与税課税の改善⑥基金拠出型医療法人の基金の評価方法の改善―を求めている。
また、事業税に関しては、社会保険診療報酬等への非課税措置の存続と自由診療収入への軽減税率制度の存続を求めた他、訪日外国人患者の増加に対応する所要の税制措置として、価格要件や収入要件の見直しを要望している。
(2)勤務環境
企業主導型保育施設の割増償却制度の延長・拡充、ベビーシッター等の子育て支援サービス利用に要した費用を、所得税の控除対象とする措置の創設並びに、医師偏在対策の一環として、「認定医師制度(仮称)」に係る所要の税制措置の創設を求めている。
(3)健康予防
健康予防の観点より、たばこ税の税率引き上げを要望している。
(4)医療施設・設備
病院・診療所用の建物の耐用年数の短縮、医療機関が取得する償却資産への固定資産税の軽減措置等、医師少数区域等に所在する医療機関の固定資産税・不動産取得税の軽減(新設項目)の他、医療機関が取得する耐震構造建物、防災構造施設や設備に係る税制上の特例措置の創設を求めている。
(5)その他
社会保険診療報酬の所得計算の特例措置であるいわゆる「四段階制」について、地域医療確保のために不可欠な制度として引き続き存続を求めるとともに、公益法人等に関わる所要の税制措置を要望している。
同常任理事は、これを「令和2年度税制改正要望」と位置付け、今後、政府へ提出し、年末の「与党税制改正大綱」決定に向けて、関係各方面へ働き掛けを行っていく意向を示した。
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日本医師会年金・税制課 TEL:03-3946-2121(代)