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令和元年(2019年)10月20日(日) / 日医ニュース

「勤務医の医師会入会への動機を喚起するための方策について―特に、若手勤務医を対象に―」をテーマに

勤務医のページ

堀田 祐馬 氏

堀田 祐馬 氏

勤務医が医師会に入会する動機とそれを喚起するための方策

 泉委員長 勤務医が医師会に入会する動機とそれを喚起するための方策についてご意見を下さい。
 堀田 私は、大学院生時代に国民健康保険だったのですが、調べてみると医師会の医師国保の方が良かったのかなと思いました。それと、医師賠償責任保険の値段も、30歳まではかなりお値打ちなので、そういう意味で地域の病院から大学院に移って、非常勤の立場になった時に、医師会を頼れる面があると思います。
 一方で、医師会に入っていないと、そういう情報が当事者に届いていないという現状があると思います。同僚に医師会について聞いてみると、「何かメリットがあるのか?」と逆に質問され、私自身も上手く説明できませんでした。
 真船 後輩の後期研修医などに聞いてみると、入会したいけれど入会の仕方がよく分からないということがありますし、研修医に関しては、入会はしていても何がメリットか分からないという方が多いです。
 そういった意味では、有益な情報が届いていないというのはそのとおりだと思います。
 せっかく、こういう機会を頂いたので、私も今後は伝えていこうと思っています。そういった人づての話が、重要なのかも知れません。
 志茂 私はずっと大学病院にいて、外の病院に出たことがありません。大学病院にいると入会の機会がないですし、情報も来ません。医師会に入会しなくてもやっていけるという部分もあります。
 こういう機会を得て、医師会について勉強させて頂いたというのが正直なところです。
 松本 郡市区等の医師会は、実際に大変な量の仕事をしています。中には、時代に合わないものもあるように思います。取捨選択して、何かもっと勤務医のために活動できるようなことがあるのではと感じています。

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 真船 今勤務している病院は300床弱の病院で、それなりにツールは準備してくれますが、勉強の機会はなかなかありません。
 そういう意味合いでは、生涯教育とかそういったところで医師会がいろいろと勉強会をサポートし、大学病院にいなくても教育が受けられる。要するに医師会を通じて自己研鑽の機会を頂くことができれば、入会の大きな理由の一つにもなるのではないかと思います。
 志茂 幸い大学病院は研修が多く、勉強会と言われるものは数多くあります。医師会主催のものはあまり聞いたことがなくて、触れ合う機会がなかったというのが現状です。
 女性医師に限定してみれば、子育てをしていると勉強会にもなかなか参加できなくなって、だんだんと自分の知識もモチベーションも下がってくるというところが大変なところです。
 私の所属する科では、例えば、半年から1年に一度集まる日を決めて、勤務時間外にはなりますが、女性医師も集まりやすい時間帯でコンセンサスミーティングを開いて、皆のモチベーションを上げて、それを診療につなげようという取り組みをしています。

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 塩瀬 働き方改革のようなことを医師会主導でやっている部分などには、我々も参加するのですが、私の周りで勤務医が医師会と密に連絡を取っている感じはありません。
 『ドクタラーゼ(別冊)』の中に、e―ラーニングのことが書いてあります。例えば、現在でも会員がアクセスして動画を見て学ぶことはできますが、今後、より多くの最新コンテンツを取りそろえて、会員の生涯教育に一層寄与していくことができれば、その辺は医師会の強みになると思います。

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 堀田 学閥や所属を横断したような勉強会は、医師会にしかできない取り組みで、非常に面白いと思います。そこに行かなければ出会えない人がいます。ただ、勉強会は入会の動機を喚起するための入り口であって、その場で医賠責保険の説明など、医師会に入りたくなるような仕掛けも付けるような工夫が必要だと思います。
 真船 以前の職場では、10~13年目までの先輩医師が集まって、腹腔鏡などについて「私の病院ではこんなことをやっている」などと意見交換の機会をもっていました。
 それは横の連携にもなりますし、全体としてのレベルアップにもなります。あくまでも情報共有の場としての勉強会を開催するのもいいと思いました。それは、専攻医になっても同じことが言えると思います。

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 志茂 医師会に入会するのがベストなタイミングは、研修医になった時だと思います。私も研修医の日医会費が無料であることを知りませんでしたので、もう少し研修医まで届くようにアピールをする、あるいは、研修医になる前の学生の時点でアピールしておいて、早々とイメージしてもらうことも一つの手だと思います。
 手術手技の勉強会をしたり、ラパロの器械を使って何かを縫ったりするような会には、外科に興味を持っている学生が結構集まっています。医師会が学生や早い段階の研修医に向けて、そうした勉強会を開くことができれば、アナウンスの一つの場にもなると思います。
 塩瀬 医師会の入会について、卒業式で一言話をする機会があれば良いと思います。
 九州大学の同門会にも入会してもらわなくてはならないので、必ず卒業式の最後に話をするのですが、そこに医師会の先生方が行って、医賠責保険の話などをすれば、親御さんも卒業式には多数おられるので、「これに入らなくては」となるかも知れません。
 医師は必ずどこかの大学を卒業するので、卒業式の場で一度話をすれば一番良いと思います。
 松本 医師会の先生が、自身の病院や大学に足しげく出向いてお話しすることも重要だと思います。
 また、大学のカリキュラムの中に講義を持っている医師会もあると承知しています。講師については、役職に関わらず、事情がよく分かっていて、本音をちゃんと話すことができて、学生にその言葉を伝えられる人間であることが必要だと思います。

会費について

 泉委員長 会費についてはいかがでしょうか。
 堀田 医賠責保険を込みで考えた時に、30歳までならどう考えてもお得だと思います。個人的には、現在30歳以下に適用されるA②(B)の会費を、40歳程度まで引き上げて頂きたいと思います。
 真船 会費そのものは安い方がアクセスしやすいので、そうあって欲しいとは思います。学会だけでも10個近く入っていると会費の負担も大きくなります。
 志茂 費用対効果から見ると、魅力的なのは医賠責保険と医師年金だと思います。
 女性医師支援に関しては、保育園やベビーシッターの問題など、どこまで保証しているのかというところがあります。
 松本 臨床研修医の日医会費は無料ですが、研修修了後に会費が発生することになります。その際に、いきなり大きな費用が発生すると負担が大きいので、会費を段階的に上げていくという配慮も必要だと思います。
 堀田 会費もそうですが、医師会に所属し、きちんとした仕事をやっていると履歴書に書けるようになればいいと思います。大学院生をやりながら医師会の研修会のスタッフをやっていると、「論文を早く書きなさい」と言われると聞いたこともあります。周りの理解も必要だと思います。
 松本 活動しても、それに対する評価がないことが大きなネックかも知れません。
 若手医師が主体的に活動できる委員会を、日医の中につくって頂けたらありがたいです。

勤務医座談会出席者
泉  良平【司会】(日医勤務医委員会委員長・富山県医師会副会長)
塩瀬  明(九州大学大学院医学研究院循環器外科学教授)
志茂 彩華(川崎市立多摩病院医長)
堀田 祐馬(松下記念病院医長)
松本  尚(日本医科大学千葉北総病院副院長)
真船 太一(日立製作所ひたちなか総合病院外科)
城守 国斗(日医常任理事)
(敬称略)

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