横倉義武会長は、9月22・23の両日、アメリカのニューヨークを訪問した。
22日、市内ブロンクスにある野口英世博士が埋葬されているウッドローン墓地を米国日本人医師会(ニューヨーク野口英世記念会)のロバート・柳澤貴裕会長、本間俊一元会長(同記念会代表)、加納良雄事務局長(同記念会副代表)と訪れ、献花の上、墓参を行った。
横倉会長は、本年8月、メキシコシティにおいて、野口英世博士来墨100周年記念セミナー及び研究所のあったメリダ市を訪問し、講演及びパネルディスカッションに参加するなど、野口英世博士の功績に触れてきた経緯がある。
同日夜、加藤勝信厚生労働大臣主催による夕食会に米国日本人医師会の医師と共に招待され、米国における医療の実際をテーマに懇談を行った。
病診連携の実態、診療所の診療報酬を提携している大学病院が保険者と交渉するシステムなど、ニューヨークで医療に携わる医師の生の声を聞く貴重な機会となった。
23日には、「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)に関する国連総会ハイレベル会合」に、世界医師会(WMA)を代表して横倉会長がWMA前会長として参加した。
横倉会長は、昨年の「NCDsに関する国連総会ハイレベル会合」において、WMA会長として講演をして以来、2回目の参加となる。
国連の「誰ひとり取り残さない」を理念とする、2030年を目標年とした「持続可能な開発目標(SDGs)」では、UHCの達成が目標の一つとして掲げられているが、国連総会のハイレベル会合においてUHCがテーマとなるのは今回が初めてであり、その重要性が改めて認識された会合であった。
開会式では、ムハンマド・バンデ国連総会議長、アントニオ・グテーレス国連事務総長、テドロス・アダノムWHO事務局長、デイビッド・マルパス世界銀行総裁などからあいさつが行われた。
その後の全体会合で、各国首脳、保健大臣等から自国におけるUHC推進の課題と取り組み状況が報告された。
パネル1では、6月にWHOのUHC親善大使に任命された武見敬三参議院議員が、グローバルムーブメントとなっているUHCの推進に向け、各国は独自のロードマップを作成して取り組んでいくべきであるとのスピーチを行った。
クロージングに際して登壇した安倍晋三内閣総理大臣は、日本は本年G20大阪サミット及びアフリカ開発会議TICAD7を開催し、各国首脳とUHCについて議論した結果を踏まえ、各国政府の責任の下でのさまざまな援助国・機関の支援を活用した一貫した政策、栄養・水・衛生等の分野横断的取り組み、UHCに必要な財政の強化などを進めていくとした。
総会では、プライマリ・ケアに特に重点をおきながら、UHCに焦点を当て、財政の持続可能性を確保し、公的支出を適切に増やすよう奨励する内容の「政治宣言」が承認された。
同日の夕刻には、ニューヨーク市内のNippon Clubにおいて、日経新聞社、日本政府、JICA、世界医師会、国連開発計画、国際製薬工業連盟、ストップ結核パートナーシップ等の共催により、「UHCと感染症」をテーマに国連総会のサイドイベントが行われた。
横倉会長は、「UHCの実現における医師と医師会の役割」と題して基調講演を行い、WMA会長としてのUHC推進に関する活動、及び本年6月の「Health Professional Meeting(H20)2019」の概要を報告。医療施設、医療システム、UHCの達成とその維持については、医師と患者、国民の間における信頼が重要であることを強調した。
その他、同イベントでは、本年第3回野口英世アフリカ大賞を受賞したウガンダのフランシス・オマスワ医師、国際製薬工業連盟トーマス・クエニ事務局長、JICA戸田隆夫上級審議役による講演が行われた。