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令和元年(2019年)11月20日(水) / 日医ニュース

「災害と医療~レジリエントな地域づくりとは」をテーマに開催

「災害と医療~レジリエントな地域づくりとは」をテーマに開催

「災害と医療~レジリエントな地域づくりとは」をテーマに開催

 「防災推進国民大会2019 日本医師会セッション」が10月19日、愛知県医師会の協力の下、「災害と医療~レジリエントな地域づくりとは」をテーマとして、名古屋市内で開催された。
 防災推進国民大会(主催:防災推進国民会議、防災推進協議会、内閣府)は、国民の防災意識向上を目的として開催されているもので、日医では毎年、本イベントに出展をしているが、今年度も昨年度に引き続き、シンポジウムセッションの提供を行った。
 セッションは、細川秀一愛知県医理事の司会で開会。冒頭、講演を行った石川広己常任理事は、今年、広範囲の地域に大きな被害をもたらした台風15号並びに19号の被害状況を紹介し、自然災害が激甚化していると指摘。「災害被害は想定できるものと、どうしても想定できないものがあるが、想定の枠を最大限に広げて対応していくことが求められている」とするとともに、「地域包括ケアを構築する際には、災害対策も考えていくべきである」と主張した。
 野田正治愛知県医理事は、団塊世代の男性、高齢の女性、医療的ケアを必要とする子ども達などの災害弱者へ対応するため、県内でICTを活用した在宅介護連携の広域化を進めていることを報告。今後は、救急との連携もしていく予定であるとした。
 伊藤之一愛知県医救急委員会委員長は、台風による停電の経験を踏まえ、①風速25メートル以上で停電する可能性がある②復旧の時間は台風の強さからは予想できない③停電の際には例え診療できたとしても、できることは限られている―ことなどを理解しておく必要があると指摘した。
 土畠智幸医療法人稲生会理事長は、昨年の北海道胆振東部地震により起こったブラックアウト下における、在宅で人工呼吸器を使用している子ども達への対応状況を報告。「日頃から、地域の人達に人工呼吸器を使用している子どもがいることを知ってもらい、地域協働を進めておくことが求められる」とした。
 古川大祐愛知県保健医療局健康医務部健康対策課長は、防ぎ得た死と二次健康被害の最小化を目的として、被災自治体による災害時の指揮調整機能を補佐するために設置された「災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)」の仕組みや具体的な役割等について、解説した。
 その後のディスカッションでは、参加者から「災害時にどのような医療を提供してもらえるのか」など、多くの質問が出された。これらの質問に対して、石川常任理事は医療現場の現状を説明するとともに、各医療機関でも災害対応を考えておく必要があるとの考えを示した。
 セッションの最後には、杉田洋一愛知県医副会長が総括を行い、「災害に備え、日頃から水、電源の確保だけでなく、避難経路の確認もしておいて欲しい」と呼び掛け、終了となった。

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