第28回被災者健康支援連絡協議会が10月29日、日医会館小講堂で開催された。
冒頭あいさつした横倉義武同協議会代表(日医会長)は、今回の台風19号被害に対する各団体の活動に謝意を示した上で、「今回の被害を踏まえ、従来の災害支援のあり方を変える必要があると感じている。本日の各団体の活動報告を基に、今後の支援体制についても考えていきたいので、本日はよろしくお願いしたい」と述べた。
引き続き、台風19号被害への国の対応として、厚生労働省からはDMAT、DPATの活動状況、衛生用品等の支援状況等が、文部科学省からは被災地の大学病院へのDMAT及び医師等の派遣状況等について、それぞれ報告がなされた。
災害救助法の対象見直し等を要望―石川常任理事
構成団体の活動報告では、石川広己常任理事が日医の活動として、JMATの派遣状況や、自身が横倉会長の指示の下、宮城、栃木、福島、長野の各県の被災地を視察したことなどを説明。
更に、今回の短期間に集中して発生した「暴風雨」等によるライフラインや医療施設の被害を踏まえ、①患者のバックトランスファーも災害救助法の対象とすること②厚労省所管の医療施設等災害復旧費補助金や中小企業所管の生業の再建支援(生活・生業支援パッケージ)の適用対象の拡大と申請手続きの単純化―を行うべきと主張した。
また、横倉会長は、加藤勝信厚労大臣の協力依頼を受けて、地域の医師会員に避難所のインフルエンザ対策への協力を求めたことを明らかとした。
その他の団体からは、医療保護入院している患者を転院させる際に、患者の同意を取る必要はないという事務連絡が、今回発出されなかったことが問題視された他、「浸水等により、施設の主たる厨房が使用不可能になった際の対応を考えておくべきだ」といった意見や、「リハビリを災害救助法に規定された医療の範囲に含めて欲しい」「同協議会として、身分を保証するIDを発行して欲しい」といった要望も出された。
これらの活動報告を踏まえて、嘉山孝正同協議会事務局長(全国医学部長病院長会議被災地支援委員会委員長)は、「インフラの復旧がいまだに進んでいないところがある」として、その対応を求めるとともに、「今後は感染症や、心の病に対する長期的な対応が課題になる」として、引き続きの協力を求めた。
同協議会では今後も必要に応じて、会議を開催し、各団体の活動に関する情報共有を図る予定としている。