感染が拡大している新型コロナウイルスに関連した感染症に関して、横倉義武会長と釜萢敏常任理事は2月5日の定例記者会見で先週に引き続き、日医の対応を説明し、相談体制・医療体制について国民へ理解いただくための協力をマスコミに求めた。
まず、横倉会長は、西アフリカで流行を繰り返しているエボラ出血熱を始め、これまで流行したさまざまな感染症等を例に挙げ、「グローバル化が進み、国境を越えてまん延する疾病(越境性感染症)の対策が国民の生命と健康を守り、安全を確保するために迅速かつ適切な対応が求められている」と指摘。
日医としては、O157による集団食中毒を契機に、1997年に感染症危機管理対策室を設置し、平時より都道府県医師会との緊急時の連絡体制を整備、厚生労働省など国とも密に連携を図り、国内発生に備えた医療体制等の対策に関する協議を行っているとした他、自身が本部長を務め、全常勤役員を構成員とする「新型コロナウイルス感染症対策本部」の会議を1月28日と2月4日に開催したことを改めて報告し、危機管理の観点から迅速かつ適切な対策を講ずる体制は整備されているとした。
更に、同本部立ち上げ以前から日医のホームページのトップに「新型コロナウイルス関連感染症」のページで情報提供していることを紹介するとともに、国民の健康を脅かす感染症が発生した際には、いち早く現場の意見を取り上げ、現場に即した対応となるよう国と協議し、正確かつ速やかな情報提供を行っていくとした。
続いて、感染症危機管理対策室長でもある釜萢常任理事が、日々変化している同感染症について先週の記者会見以降の動きと日本医師会の対応を報告した。
まず同常任理事は、2月5日の昼時点で報道発表された中国における新型コロナウイルスに感染した肺炎患者数等を報告した上で、1月31日に世界保健機関(WHO)の緊急委員会が、新型コロナウイルス関連肺炎の発生が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」に該当すると発表し、日本政府においても同感染症を指定感染症(2類感染症相当)に位置付け、施行日を2月1日に前倒しするなど、国内発生例の増加に備えた対応が図られていることを説明した。
日医としては、医療機関の中で感染症を拡大させないという観点から日本語と中国語で該当する方に事前の保健所等への電話連絡をお願いするための掲示物を作成し、文書やホームページへの掲載により周知を図っていることを紹介し、適切な医療対応のための理解を求めた。
また、医療機関のマスク、手指消毒のための備品等が不足している現状を危惧。全ての医療機関の日常診療に支障をきたすことから可及的速やかな増産等を厚生労働省に対して強く申し入れを行い、これを受けて厚労省から現時点での方針について近日中に文書が発出される予定であることを明らかにした。
また、医療体制については、「帰国者・接触者相談センター」が各保健所等に設置され、都道府県、市町村からの支援により運営されることになっており、センターにおいて受診が必要と判断された場合の受け皿としては、2月上旬を目途に「帰国者・接触者外来」を設置することになっていると説明。「その医療機関として、当面は感染症指定医療機関が当たるが、今後の疑い例の増加に対応するためにはこれ以外の医療機関の整備が必要であり、地域の実情に応じた体制の構築に向け取り組んでいきたい」とした。
最後に、同常任理事はマスコミに対し、「こうした相談体制・医療体制に関する国民への情報提供をお願いしたい」と述べ、引き続きの協力を求めた。
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