新型コロナウイルス感染症により、日本人初の死者が出るなど、その感染拡大が懸念される中、横倉義武会長は2月14日、厚生労働省を訪問し、加藤勝信厚労大臣と会談を行った。
会談では、わが国の現状について情報交換を行った他、横倉会長から、わが国のみならず世界の人々の生命と健康の安全を確保するため、新型コロナウイルス感染症対策の一層の充実を図ることを目指し、(1)新型コロナウイルス感染症に関する適切な情報の把握、(2)国民に対する正確かつ有用な情報提供の徹底、(3)新型コロナウイルス感染症に感染した人の早期発見と診断、(4)新型コロナウイルス感染症に対応する地域医療提供体制の強化、(5)新型コロナウイルス感染症対策の流行に備えた対策、(6)新型コロナウイルス感染症対策への適切な財源の確保―の6点の実現を強く要望した。
具体的には、(1)に関しては、
●新型コロナウイルス感染症の研究開発体制の推進と知見の蓄積
●感染症の拡大防止のため、公衆衛生の維持・向上など法の理念に基づく行政判断
(2)に関しては、
●海外並びに国内の感染者発生状況等の正確かつ迅速な情報提供
●帰国者・接触者相談センターへの連絡や帰国者・接触者外来への受診手順、その際の留意事項など、広報活動の更なる徹底
●窓口となる保健所の対応体制の整備と充実
(3)に関しては、
●医療機関が相談できる窓口の臨時設置
●診断キットの早期開発と診断
●治療法の確立
(4)に関しては、
●各地域における感染症病床及び陰圧室の拡充とそのための補助
●手袋、ヘッドカバー、サージカルマスク、フェイスシールド、グローブ、長袖ガウン、消毒等、PPE(個人防護衣:Personal Protective Equipment)の備蓄と分配
●帰国者・接触者外来の更なる整備とそのための補助
●自院での診療もしくは帰国者・接触者外来等に出動する医師等の感染時に対する補償制度の創設
(5)に関しては、
●新型コロナウイルスワクチンの迅速な国内開発・製造
をそれぞれ求めた。
また、両者は国民が安心して暮らしていけるよう、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けて、今後も協力していくことを改めて確認した。
政府の専門家会議メンバーに釜萢常任理事
なお、同日、政府は、これまで以上に医学的な知見を踏まえた対策を検討するため、「新型コロナウイルス感染症対策本部」の下に、感染症の専門家で組織する「新型コロナウイルス感染症専門家会議」(座長:脇田隆字国立感染症研究所長)の設置を決定。日医からは、感染症危機管理対策室長の釜萢敏常任理事が構成員として参画することになった。
2月16日には、第1回目の会議が開催され、安倍晋三内閣総理大臣からは、「前例にこだわらず、先手、先手で対策を取っていく」との考えが示された。
当日の会議では、国民に示す相談・受診の目安について議論が行われた他、国内の感染は拡大している状況にあるとの認識で構成員の考えが一致した。
釜萢常任理事は、国内の感染拡大とクルーズ船の問題は分けて考えるべきであるとの意見を述べた。
厚生労働大臣 加藤 勝信 殿 要 望 書
我が国のみならず世界の人々の生命と健康の安全を確保するため、新型コロナウイルス感染症対策の一層の充実を図るべく、以下に示す項目を強く要望いたします。 記
1.新型コロナウイルス感染症に関する適切な情報の把握 ・新型コロナウイルス感染症の研究開発体制の推進と知見の蓄積 ・感染症の拡大防止のため、公衆衛生の維持・向上など法の理念に基づく行政判断 2.国民に対する正確かつ有用な情報提供の徹底 ・海外ならびに国内の感染者発生状況等の正確かつ迅速な情報提供 ・帰国者・接触者相談センターへの連絡や帰国者・接触者外来への受診手順、その際の留意事項など、広報活動のさらなる徹底 ・窓口となる保健所の対応体制の整備と充実 3.新型コロナウイルス感染症に感染した人の早期発見と診断 ・医療機関が相談できる窓口の臨時設置 ・診断キットの早期開発と診断 ・治療法の確立 4.新型コロナウイルス感染症に対応する地域医療提供体制の強化 ・各地域における感染症病床および陰圧室の拡充とそのための補助 ・手袋、ヘッドカバー、サージカルマスク、フェイスシールド、グローブ、長袖ガウン、消毒等、PPE(個人防護衣:Personal Protective Equipment)の備蓄と分配 ・帰国者・接触者外来のさらなる整備とそのための補助 ・自院での診療もしくは帰国者・接触者外来等に出動する医師等の感染時に対する補償制度の創設 5.新型コロナウイルス感染症対策の流行に備えた対策 ・新型コロナウイルスワクチンの迅速な国内開発・製造 6.新型コロナウイルス感染症対策への適切な財源の確保 令和2年2月14日
公益社団法人 日本医師会長
横 倉 義 武 |
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