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令和2年(2020年)3月27日(金) / 「日医君」だより / プレスリリース

2018・2019年度病院委員会答申について「今後を見据えた地域医療提供体制と医師会の役割」

 城守国斗常任理事は、3月25日の定例記者会見で、会内の病院委員会が、会長諮問「今後を見据えた地域医療提供体制と医師会の役割」についての審議結果を取りまとめ、3月23日に松田晋哉委員長(産業医科大学医学部教授)から横倉義武会長に提出したとして、その概要を説明した。

 審議報告は、(1)はじめに、(2)地域医療構想を冷静に考えるためのデータ活用、(3)データから考える2040年の地域医療、(4)公立・公的病院の機能の在り方、(5)おわりに~医師会の果たすべき役割~―からなっている。

 (1)では、日本の医療提供体制の変革について、アメリカのように「市場経済」に委ねることやフランスのように「強い国の力」で強制的に行うこともできない中で、各施設が自施設の在り方を考えることができるデータを整備し、それに基づいて各施設が自主的に対応することが求められているとするとともに、情報の分析に当たっては、「各病院ごとだけでなく、各地域全体での分析をし、共有することが重要になる」としている。

 (2)では、「日本医師会地域医療情報システム(JMAP)」「厚生労働省DPC公開データ」をはじめとした各種データについてその特徴を紹介。

 (3)では、(2)で紹介した各情報をどのように検討に用いるのかを、1.過疎が進むことが予想される中山間地域、2.地方の中核都市を中心とした地域、3.大都市―の3パターンから、実際は3つの構想区域の事例を基に説明している。

 (4)では、公立・公的病院の機能の在り方に関して、年8,000億円の公金が投入されていることを踏まえた意見交換が行われたことを紹介。各地域の公立・公的病院の役割については、地域によって役割が異なることから、それぞれの地域の現状を踏まえて検討が行われるべきであり、その意味でも地域医療構想調整会議及びそれをリードする郡市区医師会の役割は大きいと指摘している。

 また、フランスの「公的病院サービス」という、公私に関わらず、一定の役割を果たせば財政的支援を受けることができる仕組みについても言及し、「我が国の公立・公的病院と民間病院の機能分化及び連携の在り方、及び地域医療構想調整会議の役割を考える上で参考になる」としている。

 (5)では、これまでの議論を踏まえ、1.医師会によるデータ分析及び助言機能の向上、2.地域医療構想調整会議におけるリーダーシップの発揮とその支援、3.高齢精神障害者への対応、4.マスメディアや国民に対する広報機能の強化、5.公民の役割分担と連携に関する議論の深化―の5事項について提言されている。

 最後に城守常任理事は、提言4.に関連して、昨年9月の公立・公的医療機関等424病院のリスト公開時における一部マスコミの誤解を招く報道によって、当該医療機関や地域住民などに不安が生じたことに言及。「医療提供体制についても、正確な情報を広く知ってもらえるよう、日医としても情報共有していく」とするとともに、国民に対する正確な情報の発信への協力を求めた。

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