横倉義武会長は5月20日の定例記者会見で、5月18日に厚生労働省で行った全国医学部長病院長会議等合同会見で報告した、安倍晋三内閣総理大臣や萩生田光一文部科学大臣、二階俊博自由民主党幹事長と会談して医療機関の窮状を訴えたこと等について改めて説明した。
横倉会長は、「新型コロナウイルス感染症対策における有事の医療提供体制」と、「新型コロナウイルス感染症対策以外の平時の医療提供体制」が、車の両輪となって国民の生命と健康を守らなければならないことを再度強調した。
更に、4月以降、外来・入院とも大幅に患者数が減少しており、全国医学部長病院長会議の調査では、2020年度末の各大学病院の損失は約5,000億円にのぼると推計されている他、福岡県医師会で毎月行っている診療報酬請求額の定点調査においても、診療所の総点数が最大で約35%減少している状況にあることを報告。こうした状況が続けば、4月の診療報酬が入金される6月以降の医療機関経営に重大で深刻な影響が出ることから、(1)新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる医療機関について、多床室利用による空床発生等を含めた医療機関への支援、(2)感染経路が不明な新型コロナウイルス感染患者が発生している状況において、地域の通常の医療の確保への支援、(3)眼科、耳鼻科等の専門診療科が地域で医療を継続するための支援、(4)医療従事者への危険手当、(5)PCR検査センターの拡充―の主に5点を要望したとした。
その要望額については、安藤たかお衆議院議員や今枝宗一郎衆議院議員を中心とする「自民党新型コロナウイルス対策医療系議員団本部」で算出した額と歩調を合わせたものであるとし、現在、政府与党の中でも検討が進められているとした。
また、日医としても加藤勝信厚生労働大臣に、同様に医療機関の窮状を訴えたことを明かした。
その他、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う学校給食の休止や飲食店等の店舗休業により、牛乳乳製品の業務用需要が大幅に減少している一方、今後、6月上旬まで生乳生産量の増加が見込まれるため、農林水産省では医療・福祉施設等へ酪農・乳業関係団体が牛乳等を無償提供する取り組みを支援していることを紹介。本事業では牛乳を無償提供するに当たり、通常一般的な販売ルートで牛乳が供給されている者を提供先とすると既存の需要を奪うことから、主に普段供給されていないと考えられる医療従事者等への供給が想定されているとし、「日医としても、国内生産体系を維持する観点から本スキームを活用し、医師を始め、希望する多くの医療従事者が牛乳等を消費して頂きたいと考えている」と述べ、都道府県医師会と地域のJミルクが取りまとめた牛乳普及協会や農業協同組合連合会等に、ぜひ連携を取って欲しいとした。
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