大学病院関係者らと共に安倍総理に要望書を提出した横倉会長(左から3番目)
大学病院関係者らと共に安倍総理に要望書を提出した横倉会長(左から3番目)
横倉義武会長は5月18日、安倍晋三内閣総理大臣、加藤勝信厚生労働大臣、萩生田光一文部科学大臣と相次いで会談し、医療機関の窮状を訴えるとともに、政府が編成を進めていた2020年度第2次補正予算に医療機関等の支援を盛り込むことを求める要望書を手交した。 |
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要望書の中で横倉会長は、新型コロナウイルス感染症が国の内外で未曾有の危機となりつつある中、「新型コロナウイルス感染症対策における有事の医療提供体制」と、「新型コロナウイルス感染症対策以外の平時の医療提供体制」が、車の両輪となって、国民の生命と健康を守っていかなければならないと強調。その上で、特に
(1)新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる医療機関について、多床室利用による空床発生等を含めた医療機関への支援
(2)感染経路が不明な新型コロナウイルス感染症患者が発生している状況において、地域の通常の医療の確保への支援
(3)眼科、耳鼻科等の専門診療科が地域で医療を継続するための支援
(4)医療従事者への危険手当
(5)PCR検査センターの拡充
―の5点等を中心として、緊急包括支援交付金の2972億円に加え、1・5兆円の予備費の活用とともに、第二次補正予算における更なる支援を求めた。
医療現場への財政支援を要求
具体的には、安藤高夫衆議院議員や今枝宗一郎衆議院議員を中心とする「自由民主党新型コロナウイルス対策医療系議員団本部」が算出した額と歩調を合わせて、
(1)では、「新型コロナウイルス感染症患者の対応に必要な病床数5万床を確保すべく、患者の重症度(重症・中等症・軽症)に応じた医療機関及びホテル等への補助」や「多床室利用による空床発生等を含めた医療機関への支援」として約6054億円を、
(2)では、「医師、看護師、介護従事者等が新型コロナウイルスに感染し、労災保険給付を受ける際に、事業主負担分を補償する民間保険を創設するとともに、その補助を行う費用」として約1410億円を、「日常の診療をしていても新型コロナウイルス感染症患者が来院する可能性があることから、地域の通常の医療の確保への支援」として約1兆2964億円を、
(3)では、「院内感染などの風評被害も重なり、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れていない医療機関においても減収しているとして、眼科、耳鼻科等の専門診療科が地域で医療を継続するための支援」として約1兆544億円を、
(4)では、「新型コロナウイルス感染症患者に対応する医療従事者は自身の感染リスクが大きく、危険手当等の支給に対する補助」として約3860億円を、更に、サージカルマスク等のPPEが診療には必須であるにもかかわらず、現在マスク等の医療防護具は国際的に相場が急上昇していることを踏まえ、医療用材料の確保として約6000億円を、
(5)では、PCR検査の可能な施設への誘導や入院が必要と判断した場合には、入院可能な医療機関への紹介を行う外来の公設(既存の帰国者・接触者相談外来、新型コロナ相談外来等)の費用として約4694億円とともに、検査実施を後押しすべく、抗原検査等の費用として約2970億円を、
―それぞれ求めている。
その他、要望書ではワクチンや治療薬、抗体検査の開発に向けた研究開発費の拡充として約3000億円、疫学や公衆衛生のみならず、臨床の専門家も入れたオールジャパン体制の疾病予防管理センターの構築として約4000億円の他、介護事業サービスにおける減収補償、新型コロナウイルス感染症患者の葬儀に関する追加費用支援、歯科診療所における減収補償として、約1兆9717億円を要望した。
これらの要望に対して、加藤厚労大臣は「新型コロナウイルス感染症の感染拡大を収束させることができたとしても、医療機関が倒産してしまっては意味がない」として、必要な対応を行っていく意向を示した。
大学病院の窮状を説明
なお、当日の安倍総理並びに萩生田文科大臣との会談には、嘉山孝正全国医学部長病院長会議新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関わる課題対応委員会委員長、永田恭介国立大学協会長ら大学病院関係者らも同席。無症状の患者に対してのPCR検査という新たな検査が必要になり、また、院内感染予防体制の徹底化により手術の抑制等を行うなど、医療業務内容が変更されたことに伴い、種々のCOVID-19対応関連経費が生じることによって、大学医学部附属病院は近々に財務的に破綻するとして、「全国大学病院への財務投入の要請書」を提出し、その支援を求めた。
第2次補正予算に向けた医療機関等の支援について
(1)新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる医療機関について、多床室利用による空床発生等を含めた医療機関への支援(2)感染経路が不明な新型コロナウイルス感染患者が発生している状況において、地域の通常の医療の確保への支援 (3)眼科、耳鼻科等の専門診療科が地域で医療を継続するための支援 (4)医療従事者への危険手当 (5)PCR検査センターの拡充 |