日医定例記者会見 10月7・14日
城守国斗常任理事は令和2年7月に実施した「第7回 日本の医療に関する意識調査」の結果について概説した。
本調査は、医療に関する国民の意識やニーズを継続的に把握すると同時に、昨今の医療に関する意識や要望を捉え、国民が安心して暮らすための医療のあり方を検討する際の基礎資料として蓄積することを目的に実施しているもので、今回は新型コロナウイルス感染症の影響の把握も行った。
調査対象は全国満20歳以上の男女で、回収数は1212であった。
同常任理事は、調査結果として、(1)新型コロナウイルス感染症による生活と意識の変化、(2)かかりつけ医の普及と期待、(3)医療に対する高い満足度、(4)平等な医療と体制への要望―について、次のように考察も交えて、その概要を説明した。
(1)新型コロナウイルス感染症による生活と意識の変化
同感染症の蔓延により82・1%の国民が生活の不安を感じ、96・8%が外出自粛要請に従っていた。
また、強制的な外出禁止や休業などが必要と考える人は93・6%にのぼった。
生活様式の変化で精神的不調を感じている人は35・6%、体の不調は20・7%であった他、医療機関での感染に不安を感じる人は69・3%(図1)で約7割にのぼり、受診控えの要因となっていたことから、国民の心身の健康への影響に対応することが喫緊の課題となっている。
感染状況や対策について国が迅速な情報提供を行ったかについては58・6%が迅速でなかったと考えており、冬の感染症対応に向けて、国民へのタイムリーな情報提供が求められる。
(2)かかりつけ医の普及と期待
かかりつけ医がいると回答した人の割合は全体の55・2%で過去の調査から大きな変化が見られなかったが、「いないが、いるとよいと思う」の割合は全ての年代で増加し、コロナ禍の中でかかりつけ医をもつことへの要望が高まっていると推測される。
今後、かかりつけ医の役割がより一層重要となる中、かかりつけ医をもちたい人を支援し、普及を図ることが重要となる。
(3)医療に対する高い満足度
受けた医療に対する満足度は92・4%、医療全般については76・1%でいずれも高い割合が継続しており、コロナ禍の中での医療従事者の健闘が影響していると推測される。
(4)平等な医療と体制への要望
所得に関係なく受けられる医療の中身は同じである方が良いと思う人の割合は74・3%で、過去の調査から傾向に変化は見られなかった(図2)。平等な医療への国民の要望が示されていると考えられる。
また、経済的理由で必要な医療を受けなかった人は、全体では4・5%であるが、等価所得200万円未満の人の間では7・8%を占め、格差が見られた。
同常任理事は最後に、改めて(4)の結果について触れ、「全ての国民に必要な医療を効果的に提供する体制・制度の強化が求められている」と強調した。
※本調査の報告書は、日医総研ホームページに掲載されているので、ご活用願います。
関連資料
問い合わせ先
日本医師会総合政策研究機構 TEL:03-3946-2121(代)