田村厚労大臣と
田村厚労大臣と
中川俊男会長は9月23日、今村聡、松原謙二、猪口雄二各副会長と共に厚生労働省を訪れ、この度発足した菅内閣で厚労大臣に就任した田村憲久衆議院議員と初会談を行った。
中川会長は、田村厚労大臣に就任の祝意を伝えるとともに、菅義偉内閣総理大臣が就任会見などで言及した「オンライン診療」等について、日本医師会の考え方を説明した。
中川会長は、オンライン診療について、離島、へき地など地理的アクセスが制限されていたり、難病・小児慢性疾患で診療できる医療機関が限られていてアクセスも困難な場合など、対面診療が容易ではない患者には適切に提供されるべきとする日本医師会の基本的なスタンス等を説明。
その上で、現在、有事における緊急の対応として実施されている「初診からのオンライン診療」について、今後の検討の際には、今般の各種特例の検証結果を踏まえ、安全性・有効性をしっかりと確認しなければならないことを強調した。
田村厚労大臣は、安全性・有効性を重視する日本医師会の姿勢に一定の理解を示すとともに、厚労省内の議論のみで完結する事項ではないため、関係各省とも連携しながら検討を行っていくとした。
死亡診断書の電子化で協力求める
中川会長ら一行は、10月1日には菅内閣で内閣府特命担当大臣に就任した河野太郎、平井卓也両衆議院議員と初会談を行った。
河野特命担当大臣(沖縄及び北方対策、規制改革)との会談では、オンライン診療が話題になり、河野大臣は「菅総理より医療・防災・教育分野についてのデジタル化を強力に進めるよう指示を受けており、特にオンライン診療分野に関して、日本医師会のアドバイスを求めていきたい」と述べた。
また、電子レセプトの推進の話題では、AIの活用と分析データの蓄積により、人間によるチェックの手間を省き合理化を進めていくことや、健診結果データを基に予防医療を進めていくといったビジョンが示された。その中では、レセプトデータの保存形式に統一基準が必要であることが指摘され、河野大臣も、医療のデジタル化推進にはその点が欠かせないとの認識を示した。
その他、会談では、現在は医師が手書きで作成している死亡診断書のオンライン入力による作成についても話題になった。今村副会長は、例えば在宅の新型コロナウイルス感染症患者の死亡発生件数などの迅速な把握だけでなく、さまざまな調査が可能になると説明。その実現には、省庁をまたいだ対応が必要となるとしたことに対して、河野大臣は「省庁をまたいだ問題への対応は私の仕事なので、ぜひ詳細を教えてもらいたい」と前向きな姿勢を示した。
また、日本医師会で普及を進めているHPKIカード(医師資格証)が、医師がオンラインで死亡診断書を入力する際に、強力な身分証明ツールとなるとしたことに対しても、河野大臣はバックアップしていく意向を示し、医療のデジタル化とネットワーク化が今後、必須であるとの認識で一致した。
平井特命担当大臣(マイナンバー制度)との会談の中では、HPKIカードが話題になった。今村副会長がその普及率がマイナンバーカードと同程度であり、普及には、取得を任意とするのではなく、法律で義務化する必要があるとしたのに対し、平井大臣は一定の理解を示した。
また、日本医師会で、HPKIカードを医師全員に配る意向であることを説明したことに対して、平井大臣は2021年3月から、マイナンバーカードが保険証として利用できることを踏まえ、今年12月に再度、全国民に通知を送り、その普及を図る予定であることを明らかにするとともに、マイナンバーカードの配布と足並みを揃えて対応することを提案。HPKIカードの取得方法を簡素化しつつ、新たに医師となる人にはHPKIカードを交付するような制度の構築を目指すことで一致した。
その他、平井大臣は事業者ごとに異なるレセプトデータの保存形式についても言及し、今後、統一化に向けて働き掛ける意向を示した。