釜萢敏常任理事は11月17日、政府提出の「予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律案」について審議を行っている衆議院厚生労働委員会に参考人として招かれ、現在、臨床試験が進められている新型コロナウイルス感染症のワクチンを実際に現場で接種することが可能になった場合の課題等について意見を述べた。
同常任理事はまず、全国民に接種できる数のワクチンを確保するなどの政府の対応に感謝の意を示した上で、国民にワクチンの接種を希望してもらうためには安全性に加えて、発症予防、重症化予防などの効果を広く国民が情報共有することが必要になると指摘。また、ワクチンの薬事承認に当たってはこれまで積み上げてきた手順をしっかりと踏み、国民に納得してもらわなければならないと強調した。
接種後の有害事象に関しては、「いち早く察知し、公表することが大事になる」とし、「そういった意味においても、最も早く情報を察知できる医療従事者の役割が重要になる」と述べた。
接種方法については個別接種が望ましいが、1000接種分のワクチンが供給されてしまったような場合には難しくなると説明。その一方で、平成6年の予防接種法の改正以降、集団接種の経験がない自治体も増えているとして、その体制を整えることも大きな課題として挙げ、検討の際には地域の医療従事者が通常の診療を行いながら、接種を行わなければならないことも考慮すべきであるとした。
その他、同常任理事は接種勧奨と努力義務についても言及。ワクチンの効果などをよく分析した上で柔軟に対応する方針が示されていることを評価するとともに、そのことが最終的には国民のワクチンに対する信頼にもつながるとの考えを示した。