閉じる

令和2年(2020年)12月20日(日) / 日医ニュース

全世代型社会保障検討会議で日本医師会の考え方を説明

全世代型社会保障検討会議で日本医師会の考え方を説明

全世代型社会保障検討会議で日本医師会の考え方を説明

 中川俊男会長は11月24日、医療改革をテーマとして総理官邸で開催された全世代型社会保障検討会議に参考人として出席し、(1)後期高齢者の患者負担割合のあり方、(2)「外来機能分化」と「200床以上の一般病院への定額負担拡大」―に対する日本医師会の考え方を説明した。
 (1)について、中川会長は①後期高齢者は1人当たりの医療費が高く、年収に対する患者一部負担の割合は既に十分に高くなっている②患者一部負担割合の引き上げによって、受診控えの恐れがある―ことを指摘。「たとえ受診したとしても、患者負担が重荷となり、必要な医療を控える懸念がある」とした。
 また、応能負担に関しては、「本来は保険料及び税で求めるべき」と述べるとともに、患者一部負担での応能負担は限定的にすべきと主張した。
 その上で、コロナ禍での受診控えによる今後の健康への影響が懸念される中で、更なる受診控えを生じさせかねない政策を進めることは、高齢者に追い打ちを掛けることになるとして、後期高齢者に原則2割の負担を導入することに慎重な考えを示した。

201220b2.jpg (2)の「外来機能分化」に関しては、医療資源を重点的に活用すべき「特定機能病院」において、慢性期の外来診療が多数行われている一方、地域における医療連携を主軸にすべき基幹的病院が地域医療支援病院になっていないという現状があることを説明。このような現状の適正化により、病院や外来の機能分化は推進可能とした。
 外来機能に関しては、「規模だけで決まるものではなく、例えば医療機関の少ない地域では、一つの病院が外来も含め、全ての医療に対応しなければならないなど、その機能はさまざまである」とするとともに、既に地域医療構想調整会議において各地域の機能分化の最適化が図られているところであり、病院の外来機能は、地域の実情によって異なることを概説。病床数で線引きされ得るものではないと強調した。
 「200床以上の一般病院への定額負担拡大」については、紹介状なしで受診した患者からの定額負担の徴収が、本年4月の診療報酬改定で400床以上から200床以上の地域医療支援病院に拡大されたばかりであることを紹介し、この検証をしっかり行うことを要求。加えて、「現在のところ、再診時の定額徴収は極めて少ないが、外来機能分化のためには患者を地域に戻すことが有効である」として、再診時の定額負担の強化を求めた。
 今回の議論を受け、菅義偉内閣総理大臣は、後期高齢者の窓口負担について、「当日の意見を踏まえて更に検討を進め、本会議が年末に取りまとめる最終報告において結論を得たい」との考えを表明。西村康稔全世代型社会保障改革担当大臣や田村憲久厚生労働大臣など関係大臣に対して、与党との調整も十分に図りつつ、取りまとめに向けた具体的な検討を進めるよう指示した。

 

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる