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令和2年(2020年)12月20日(日) / 日医ニュース

後期高齢者の患者負担割合について慎重な対応を求める決議を採択

後期高齢者の患者負担割合について慎重な対応を求める決議を採択

後期高齢者の患者負担割合について慎重な対応を求める決議を採択

 第15回国民医療推進協議会(以下、国医協)総会が12月2日、日本医師会館でWEB会議により急きょ開催され、後期高齢者の患者負担割合について慎重に対応することを求める決議(別掲)を全会一致で採択した。

 総会は松本吉郎日本医師会常任理事の司会で開会。冒頭、国医協会長としてあいさつを行った中川俊男日本医師会長は、「後期高齢者の患者負担割合のあり方に関する議論が正念場を迎え、風雲急(ふううんきゅう)を告げる動きとなっているため、急な開催となった」と今回の総会を開催することになった経緯を説明。その上で、「新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中で、後期高齢者の患者負担割合を1割から倍にするという議論を行うこと自体、社会保障としての優しさが全く感じられない。私達は後期高齢者を含めた高齢者の医療を守っていかなければならない」と訴え、理解を求めた。
 続いて、国医協の3名の副会長からあいさつが行われた。堀憲郎国医協副会長(日本歯科医師会長)は窓口負担増による受診控えを危惧。山本信夫国医協副会長(日本薬剤師会長)は「十分な議論が足りていない」と指摘した他、福井トシ子国医協副会長(日本看護協会長)は「負担増によって日々の食生活を切り詰めるようなことがあってはならない」と述べるなど、日本医師会の考えに賛意を示した。
 引き続き議事に移り、「後期高齢者の患者一部負担割合引き上げの件」について議論が行われた。
 議論に先立って、今村聡日本医師会副会長は資料を基に、(1)患者一部負担割合の引き上げによって、受診控えの恐れがある、(2)仮に新たな負担割合を設けるとしても、法改正が必要であり、国民の納得と合意は不可欠である、(3)厚生労働省の関係審議会で丁寧な議論を行っていく必要がある、(4)今回の負担導入は75歳以上で既に1割負担になっている方も対象となってしまう―ことなどを説明し「患者一部負担での応能負担は『限定的』にすべきである」「コロナ禍において、更なる受診控えを生じさせかねない政策を進め、高齢者に追い打ちを掛けるべきではない」と強調した。
 協議の後、決議を松本日本医師会常任理事が読み上げ、全会一致でこれを採択し、総会は終了となった。

決議

 後期高齢者の患者負担割合について、患者一部負担割合の引き上げは、高齢者を必要な医療からさらに遠ざけ、経済的にも身体的にも大きなダメージとなる。
 現在、新型コロナウイルス感染症感染の不安から、受診控えが続いており、この時期に、このような政策を進めることに、国民の信頼は得られない。
 よって、後期高齢者の患者負担割合について慎重に対応するよう、本協議会の総意として、強く要望する。
以上、決議する。
令和2年12月2日
国民医療推進協議会

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