中川俊男会長は2月25日の定例記者会見で、緊急事態宣言の前倒し解除について、新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着いたとの誤ったメッセージとなる危険性に触れ、政府に対して慎重な判断を求めた。
中川会長は、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県が緊急事態宣言の先行解除の調整に入り、東京都など首都圏も3月7日に解除する方向だとの情報を踏まえ、緊急事態宣言解除の条件について、「医療提供体制に係る6指標がステージ2に相当すること、あるいは、ステージ3ではあるが、そのままの状況が続けばステージ2になるのは間違いないと判断される場合」とする日本医師会の考え方を改めて説明。
6つの指標については、全体的に改善傾向ではあるものの、ステージ2には程遠く、新規感染者数の減少のスピードも鈍化して下げ止まりの兆候が見られることや、依然として首都圏における医療提供体制が厳しいことを挙げ、「このような状況においては、感染が再び急速に拡大し、第3波のピークを越える次の流行の波がいつ襲来してもおかしくない。第4波の襲来、3度目の緊急事態宣言という事態は絶対に避けなければならない」と強調した。
また、京都府、大阪府、兵庫県の各医師会長においても、医療現場は引き続き高い緊張感をもっており、緊急事態宣言の解除と社会・経済活動の再開は段階的に慎重に行うべきとの共通した認識であったことに言及。
中川会長は、「緊急事態宣言の前倒し解除が、国民にもう大丈夫なのだという誤ったメッセージを発信することになる危険性がある」と危惧し、第4波が襲来しないレベルまで徹底的に感染者数を抑え込み、収束への道筋をつけることが、正常な社会、経済活動に戻るために最も重要であることを指摘した。
その上で、政府に対しては、緊急事態宣言の解除について、慎重かつ冷静で大局的な判断を要望するとともに、国民に対しては、引き続き、不要不急の外出を避けるとともに、マスクの着用、手洗いなど、基本的な感染防止対策の徹底を呼び掛けた。
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