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令和3年(2021年)6月20日(日) / プレスリリース / 日医ニュース

新型コロナや働き方改革への予算確保など4項目に絞って要望

新型コロナや働き方改革への予算確保など4項目に絞って要望

新型コロナや働き方改革への予算確保など4項目に絞って要望

 「令和4年度政府概算要求に対する日本医師会要望の説明会」が5月25日、厚生労働省とのWEB会議で開催され、今村聡・松原謙二・猪口雄二各副会長、釜萢敏・松本吉郎・長島公之各常任理事が出席。要望(全文は日本医師会ホームページ参照)の実現に向け、趣旨を説明した。
 当日はまず、松本常任理事が、「今までの概算要求要望は分量が多すぎるとの指摘があったため、今回は特に重要な課題である4項目に絞って要望することとした」と説明。具体的には、(1)新型コロナウイルス感染症等への予算確保、(2)働き方改革への予算確保、(3)地域医療への予算確保、(4)データヘルス改革実現のための予算確保―の4項目で構成したとして、項目ごとに要望の概要を述べた後、厚労省事務局よりそれぞれコメントがなされた。
 (1)新型コロナウイルス感染症等への予算確保に関しては、「新型コロナウイルス感染症患者の受入病床確保への支援策」や「発熱外来診療体制の維持・充実」「医療従事者等に対する支援、補償」など10項目を挙げ、新たな予算措置や現行予算の大幅な増額を求めた。
 これに対して高城亮新型コロナウイルス感染症対策推進本部参事官は、「コロナ患者の受け入れを行っている医療機関に対する病床の確保や処遇改善に関する支援の他、コロナ対応を行っていない医療機関に対する感染症防止のための支援も含め、これまで計4・6兆円の予算を措置してきた」と強調。その上で、「今回の提案を念頭に、引き続き感染症対応に必要な支援を行うために、令和4年度の予算の確保を検討していく」との姿勢を示した。
 また、釜萢常任理事はワクチン接種を推進するため、自治体が実施する集団接種会場への医療従事者の派遣や、個別の医療機関における接種の拡大が必要だとして、引き続きの支援を要請した。
 (2)働き方改革への予算確保に関しては、2024(令和6)年度からの医師の働き方の新制度施行に向け、「教育、研究、臨床、地域医療支援を担う大学病院の働き方改革の支援」や「医療従事者のタスクシェア・タスクシフト推進のための支援」など4項目を求めた。
 山本英紀医政局医事課長は、「医療従事者の確保や、医療機関の働き方改革に関して地域医療介護総合確保基金の活用を可能としている。昨年度、今年度の事業の実績を踏まえながら改善し、各医療機関において取り組んで頂けるよう、令和4年度についても必要な予算確保に努めたい」と応じた。
 (3)地域医療への予算確保に関しては、「地域医療介護総合確保基金の拡充及び柔軟運用」や「救急災害医療対策」など3項目を要求。
 鈴木健彦医政局地域医療計画課長は、引き続き地域医療介護総合確保基金や他補助事業の予算確保、災害医療対策の拡充に努めるとした上で、「令和3年度はこれまで補助事業で行ってきた病床機能再編支援事業が、基金の中に全額国庫事業として位置付けられる。既に機能分化・連携の議論が進められている医療機関・地域を積極的に支援していきたい」として、その活用を求めた。
 救急災害医療に関しては、長島常任理事が災害対策基本法の改正に言及。「これからは、要配慮者への地域医師会の関わりも重要となるので、そこへの予算措置もお願いしたい」と要望した。
 (4)データヘルス改革実現のための予算確保に関しては、「HPKIの利用環境と一層のセキュリティ基盤の整備」や「オンライン資格確認導入支援」など6項目を求めた。
 これに対して、笠松淳也医政局研究開発振興課長は、オンラインやマイナンバーカードを活用して、全国で医療情報を確認できる仕組みを拡大するとともに、電子カルテ情報及び交換方式の標準化を進めていくとした上で、「ICTを活用した地域医療連携を行うHPKIの利用環境の整備は大変重要であり、その普及と定着を図る必要がある。引き続き予算の確保に努めたい」と述べた。
 これに関連して、長島常任理事は、オンライン資格確認について、医療機関の負担が大きくては実現しないとして、導入や維持への予算措置を求めた。
 最後に、公務により欠席した中川俊男会長に代わり今村副会長があいさつし、「例年の要望と違い、4点に絞ってお願いしている。どれも重要な要望なので、ぜひともその実現に向けたご配慮をお願いしたい」と要請。迫井正深医政局長は、日頃の新型コロナウイルス感染症への対応に謝意を示した上で、「本日頂いた要望をしっかり受け止め、概算要求要望に反映していきたい」と総括した。

令和4(2022)年度政府概算要求要望の概要

1.新型コロナウイルス感染症等への予算確保
(1)新型コロナウイルス感染症患者の受入病床確保への支援策
(2)発熱外来診療体制(診療・検査医療機関)の維持・充実
(3)新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金の継続、並びに人件費への補助の拡充
(4)必要な医療資機材等の供給・備蓄体制の構築
(5)感染症患者の搬送体制の整備
(6)医療従事者等に対する支援、補償
(7)ワクチン・抗ウイルス薬の開発・備蓄の拡充
(8)不測の事態に備えた余裕のあるワクチンの供給体制の整備
(9)安全な予防接種実施の推進
(10)感染症、予防接種に関する報告等の事務負担軽減
2.働き方改革への予算確保
(1)医師の働き方の制度の基盤整備
(2)教育、研究、臨床、地域医療支援を担う大学病院の働き方改革の支援
(3)医療従事者のタスクシェア・タスクシフト推進のための支援
(4)上手な医療のかかり方の推進
3.地域医療への予算確保
(1)地域医療介護総合確保基金の拡充及び柔軟運用
(2)地域医療介護総合確保基金以外の補助事業の拡充
(3)救急災害医療対策
4.データヘルス改革実現のための予算確保
(1)HPKIの利用環境と一層のセキュリティ基盤の整備
(2)オンライン資格確認導入支援
(3)医療機関等のサイバーセキュリティ対策支援
(4)各種情報システムの一元化の推進
(5)医療情報連携の推進及び適切な活用のための環境整備
(6)AI・IoT研究・開発支援

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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