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令和3年(2021年)5月27日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース

良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律の成立について(医師の働き方、タスクシフト・タスクシェア)

 今村聡副会長は5月26日、記者会見を行い、同月21日に成立した「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」について、(1)医師の働き方改革、(2)タスクシフト・タスクシェア、(3)医師の養成課程の見直し―の3点に関する日本医師会の見解を説明した。

 (1)に関しては、2024年度からスタートする新制度が地域医療とのバランスを見ながら時間をかけて改革していくことになった点を評価。やむを得ず一定以上の長時間労働の医師に対して、医師による面接指導が義務化されることについては、面接指導実施医師の養成に関する講習プログラム等に日本医師会として積極的に関与していくとした。

 その一方で、コロナ禍において、コロナ患者の治療、ワクチン接種への対応などに追われている現状は無視することはできないと強調。2024年4月施行というスケジュールに合わせて拙速に改革を進めれば、地域医療の混乱を招きかねないとし、「現場が医師の働き方改革にしっかりと取り組める状況であるのか」「過剰な労働下におかれている医師の健康への影響はどうであるのか」など、足元をしっかりと確認しながら、慎重に進めていくことを求めた。

 更に、同副会長は今後について、成立に当たって付けられた付帯決議の内容や現場の意見を踏まえて、より良い制度となるよう取り組んでいくとするとともに、行政に対して、「2024年度から罰則付きの労働時間の上限規制がスタートするに当たっては働き方改革が地域医療に及ぼす影響をみつつ、罰則適用については謙抑的かつ慎重に運用して欲しい」と強く要請した。

 (2)については、いわゆるタスクシェア、タスクシフトとして、医療関係職種の業務の見直しが行われることに関して、安全な医療を守るため、医師による医療統括、すなわち"メディカルコントロール"と、しっかりした教育体制が必須となると強調。特に、救急救命士については、医療機関の中で業務を行うことを前提とせずに養成されてきたことを踏まえ、他の職種の理解を得て、チーム医療の一員として活動していくための準備が必要になるとした。

 その上で、日本医師会としても、関係学会や団体と共に、事後検証も含めたメディカルコントロールと研修の体制づくりに協力していきたいとした他、「人口変動が起き、少子化が進む現在、日本の将来を考えれば、各職種の養成は需給見通しに基づいて適切に行われることも重要との観点を持ちながら、引き続き、医療関係職種の養成に寄与していく」と述べた。

 また、(3)に関しては、いわゆるStudent doctorが制度化されることについて、日本医師会が2018年5月21日、全国医学部長病院長会議と共に、「卒前卒後のシームレスな医学教育を実現するための提言」を取りまとめ、同様の制度改正を主張してきたことを紹介。今回の法改正はこれからの医師養成にとって極めて重要になるとして、医療安全と国民の医療への信頼を守るため、「CBTやOSCEの更なる改善」と、「診療参加型臨床実習の充実」を国民の理解も得ながら、求めていく考えを表明し、これらの取り組みによって、より早期に基本的診療能力が獲得されることに期待感を示した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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