中川俊男会長は7月7日の定例記者会見で、新型コロナウイルスの感染状況及び、ワクチン接種と副反応について説明した。
まず中川会長は、新型コロナウイルス感染症の状況について、緊急事態宣言の対象である沖縄県はステージ4であるものの、改善傾向にあるとし、全国の新規感染者数は減少傾向から微増に転じていると指摘。一方、首都圏1都3県で新規陽性者数の増加傾向が顕著であり、特に東京都では新規陽性者が前の週の同じ曜日を上回る増加を続け、新規陽性者数及び療養者数の指標がステージ4へと移行するだけでなく、首都圏、特に東京都では更なる感染者急増の懸念があることから、「このままでは、まん延防止等重点措置の延長はもとより、オリンピック開催以前に、緊急事態宣言の発令という強い措置を取らざるを得ない」と強調し、引き続きの感染防止対策の徹底を呼び掛けた。
次に、新型コロナワクチン接種に関しては、河野太郎新型コロナウイルスワクチン接種担当大臣が記者会見で、モデルナのワクチンの供給は当初6月末までで4,000万回分の予定であったところ、実際に供給されたのは約6割少ない1,370万回分になると発言したことに言及。「9月末までに5,000万回分を確保する計画に変更はない」と聞いているとした。また、田村憲久厚生労働大臣が記者会見で自治体など市中に約4,000万回分の未接種分があるのではないかという指摘に対しては、「医療機関に配分されたワクチンは、接種する対象者がほとんど確定していると思われるので、確実な接種につなげて欲しい」と述べた。
その上で、6月時点でほとんどの自治体で年内に接種を終了できる見通しがたっていたが、その後の大規模接種施設の開設や職域接種も始まり、接種の場が拡大したことから急速に不足感が高まったと指摘し、接種を希望される方々へ「年内接種の目標は維持されているので、もう少し順番を待って欲しい」と理解を求めた。
また、東京都の65歳以上の高齢者の新規陽性者が減少していることにも触れ、「ワクチン接種の効果と見られる」とするとともに、政府に対しては「ワクチンの供給の見通しが不透明なままだと医療現場は混乱し、国民の不安も解消されない。ワクチン接種を加速しつつも、ワクチンの供給の見通しを丁寧に説明してもらいたい」と述べた。
その他、中川会長は、モデルナ社のワクチン接種後、1週間以上経った後、接種した箇所(肩)から二の腕や肘の間に、皮膚の赤み、かゆみや痛みなどが現れることがあるが、これらの副反応は、海外での臨床試験の段階で既に確認されており、症状は1週間から長くても11日程度で軽快し、冷やしたり、抗アレルギー薬やステロイド薬を使用することもあると説明。「接種した部位よりだいぶ下の方に症状が出た場合は、ワクチン接種と関係ないと思われるケースもあるが、心配があるようであれば、かかりつけ医等を受診し、モデルナのワクチンを接種したことを伝えてもらいたい」と呼び掛けた。
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