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令和3年(2021年)7月26日(月) / 「日医君」だより / プレスリリース

新型コロナウイルス感染症の現況について

 中川俊男会長は7月21日の定例記者会見で、東京を始めとして全国的に感染拡大の傾向にある中で、既に第5波が進行しているとの見方を示し、基本的な感染対策を徹底しつつ、オリンピック・パラリンピックは自宅でテレビ観戦するよう呼び掛けた。

 中川会長はまず、直近の感染状況として、7月16日に公表された医療提供体制等の指標から、(1)東京都の7月20日の新規陽性者は1,387人、直近7日間の1日当たりの平均は1,180人で、前週の150%となっている、(2)重症病床使用率の指標は44.6%で、ステージ4レベルの50%に近付きつつある、(3)全国的にも、直近1週間とその前の週との新規感染者の比が1.16から1.41になり、感染の拡大傾向が強まっている―ことを挙げ、「既に第5波が進行していると考える。しかも、感染者数が最も多かった第3波を超える懸念がある」と強調。新規感染者の中心が高齢者から20代、30代を中心とした若年層へと移行しており、若年層の入院や、重症化するケースが増加していることにも危機感を示した。

 また、新規感染数の増加に加えて、デルタ株への置き換わりが急速に進んでいることに触れ、「ワクチン接種が進んでいる国では行動規制を緩めたりしているが、このような国でも、若年層を中心にデルタ株による感染拡大が起こっている」と危惧。感染力が強い変異株による感染急拡大の危険性がある今、改めて基本的な感染対策を徹底するよう呼び掛けた。

 ワクチン接種に関しては、全国の医療現場から、ワクチンが入手できないとの多くの声が日本医師会に寄せられていることを報告し、「全国のワクチン接種能力が国のワクチン提供量を上回ったためだが、国の要請に全国の自治体、医師会、医療機関、職域が応えたのに、急にブレーキが掛かることになって非常に戸惑っている」と述べた。

 一方、厚生労働省が「全国の医療機関にワクチンの在庫がある」との見解を示していることに対しては、各自治体への累計供給数からワクチン接種記録システム(VRS)で報告された接種数を差し引く在庫数のカウントの在り方が機械的過ぎることを指摘。VRSへの入力が追いついていない自治体がある上、予約分や2回目分を確保しておくことは当然であり、当該自治体以外から接種に来る方が多ければ、住民人口に比べて供給量が多いため余っているように見えるとし、「予約分や2回目分の確保は適正な準備量であって、『在庫』という表現は当たらない。政府には、実情を正確に把握して、丁寧な対応をして頂きたい」と要請した。

 この他、オリンピック・パラリンピックの開幕を控え、7月19日に大会組織委員会の橋本聖子会長に、尾﨑治夫東京都医師会長との連名による文書「東京オリンピック・パラリンピック競技大会の安全・安心な開催に向けて」を提出するとともに、医療者として、安全・安心な大会の成功に向けて全力で支援していく旨を伝えたことを報告。観戦については、家族やいつも一緒にいる人と自宅のテレビで応援することを求めた。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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