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令和3年(2021年)10月5日(火) / 日医ニュース

国果

 唐突だが、「国果」、国の果実は何かご存じだろうか。国花は桜、国鳥はキジ......国の果実は? 答えは「柿」だそうである。
 とは言っても、国花も国鳥も法律で定められたものではなく、国内の専門団体が決めて、なんとなく国民に承認されている存在なのだそうだ。国果が柿と言われるようになったのも、京都の有名な料理人がそう話したことが始まりだと言う。
 柿はビタミンやミネラルが多く含まれており、日本では昔から重要な栄養補給源とされてきた。「柿が赤くなれば医者は青くなる」という諺(ことわざ)が示すとおりだ。
 柿の歴史は古く、驚いたことに人類が誕生する前から存在した可能性があるそうだ。岐阜県では、第三紀層から柿の化石が発見されているとのこと。第三紀層とは、およそ6500万年前から260万年前に形成された地層を言うらしい。想像をはるかに超えている。
 岐阜県のブランド柿に、織田信長の天下布武にあやかった「天下富舞(てんかふぶ)」がある。最高級のものは糖度25度超、3L(300グラム)サイズ以上という規格となっており、その値段がまた想像をはるかに超える。2020年の初競りでは2個で86万円の高値がついたそうだ。
 柿と聞いて頭に浮かぶのは「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」。正岡子規がこの句を詠んだとされる10月26日は、柿がちょうど赤くなる時期でもあることから、「柿の日」に制定されている。
 もう1カ月もすると当地の柿も食べ頃か。真っ赤に熟れた柿には、秋の夕暮れがよく似合う。

(とら)

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