岸田新内閣が10月4日に発足したことを受けて、中川俊男会長は10月13日に今村聡・松原謙二・猪口雄二各副会長と共に中央合同庁舎8号館を訪れ、山際大志郎経済再生担当大臣、堀内詔子ワクチン接種推進担当大臣と初会談を行った。
最初に山際大臣と会談した中川会長は、まず、新型コロナウイルス感染症新規感染者数の急減状況が全国的に続いていることに触れ、「新規感染者の減少は喜ばしいが、ワクチン接種推進だけがその要因とも言い切れない。その他の要因が不明のままでは、増加に転じた時に有効な対策が取れないのではないか」と指摘。更に、現在の状況が続くことで国民の間に感染対策への緩みが生じ、今後、新規感染者が増加に転じた場合、緊急事態宣言等、強力な対策を実施するに当たり、国民からのコンセンサスが得られないのではないかとの懸念が示された。
これに対して、山際大臣は一定の理解を示した上で、コロナ後の経済活性策について触れ、訪日外国人受け入れ体制の整備、海外との交流の復活、経済構造の転換が必要になるとの考えを示した。その一方で、「再度の感染拡大に備えるためにも、引き続き医療従事者や病床の確保を続けていくことが必要であり、その実施に当たって、日本医師会を始めとした医療界の知見が求められる」と述べたことに対して、中川会長は、日本医師会として変わらず協力していく意向を明らかにした。
また、コロナとの共生については、猪口副会長が、「新型コロナウイルス用の経口薬が開発されれば、新型コロナウイルス感染症をインフルエンザ並みの扱いにできるだろう」とした他、今村副会長は、新型コロナワクチンと治療薬の開発がともに海外に依存している現状を憂慮し、「国内での治療薬開発と、国産の治療薬が適正な価格で供給される仕組みづくりが必要」と指摘した。
その他、中川会長と山際大臣は、感染状況にかかわらず、手洗いやうがい、マスクの着用といった基本的な感染対策の継続が今後も必要との認識で一致した。
当日、中川会長らは、引き続き堀内大臣とも会談を行った。堀内大臣は冒頭、日本のワクチン接種率について、日本国内の接種人数の全人口に占める割合が1回目で約75%、2回目で約65%に達しているとして、全国の医師会並びに医師会員の協力に対して、謝辞が述べられた。
これを受け、中川会長は、1日100万回の接種回数目標が掲げられたことに対し、全国の医師会と医師会員が総力を挙げて取り組んだ結果、100万回を大きく上回る回数を達成する日もあったことを説明し、特に開業医・病院での個別接種が接種率向上の推進力となったと強調。また、今回の接種事業を経験したことで、接種のノウハウも蓄積されているとし、3回目のワクチン接種に当たっては、個別接種を軸に進めること、また、医療従事者への接種を先行して進めることを要望するとともに、交互接種について、その有効性や実施の可否を政府内で早急に検討する必要性を指摘した。
これに対し、堀内大臣は、かかりつけ医による接種は被接種者に安心感を与えることができるとするとともに、交互接種及び12歳未満の国民への接種については、専門家の意見を聞いた上で、方針を定めていくとの意向を述べた。
また、今村副会長は、自院で使用しているワクチンの種類についての問い合わせがあり、特定の種類のワクチン接種を希望する人が多い現状を報告し、ワクチンに関する誤情報の拡散がその一因との認識で一致。更に、松原副会長が、3回目の接種に向け「契約したから安心ではなく、希望者全体に行き渡るだけのワクチンを、なるべく早く確保してもらいたい」と要望したことに対し、堀内大臣は、河野太郎前大臣から引き継ぎを受けており、10月12日に岸田総理が新型コロナワクチンの3回目接種費用は国費負担と表明したこともあり、「製薬会社に対しては、契約の履行とワクチンの早期納入を繰り返し求めていく」と応じた。
会談の最後に、堀内大臣はワクチン接種推進について、改めて引き続きの協力を要請。中川会長は、日本医師会として変わらず協力することを約束した。
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