生ビールホームサーバーが届いた。小さなガスボンベやビニールチューブなどが入っている。同時に生ビールの入った1リットルのプラボトル樽が2本。
早速仕様書どおりにセットし、すぐ試飲。確かに店で飲む生ビールの味である。月2回合計4リットル。こんなにも飲むかなあと思ったがこれが申し込みの最小単位である。店の中ジョッキの大きさが約400ミリリットルぐらいか。10回分である。まあこんなものかと思ったが、初回は何と1回配達分2リットルが2日で無くなった。1日約2~3杯飲んだことになる。とにかくうまい。これはたまらん。その上一度セットするとグラスを持っていけばすぐ飲める。
缶ビールは冷蔵庫から出してプシュッとプルを引っ張ってグラスに注ぐ。その手間が無いのだ。コックを傾ければ黄金色の透明な液体が流れ出る。コックを反対側に押せばあのクリーミーな極上の泡が静かに流れ出る。
つまみを口に入れる間もなく、このために買った400ミリリットルのグラスが空になる。口当たりのど越しが良いから、するすると入る。物足りない、もう一杯。
いや、これはやばいなあ。1日3杯飲めばすぐプラ樽1本が空になる。樽2本が3日もてば良い方か。次は2週間先まで来ない。何となくイライラする。追加注文もできるらしいが、面倒だしすぐには届かない。1カ月8リットルのコースにするか。これだと今の倍だ。週に2リットル。毎日うまい生ビールが飲める。どんどん飲む量が増えるだろうな。
うまいものには毒がある。神様が人間の奢(おご)りを戒めるために少し毒を混ぜたとか。私が毎日生ビールを飲むなんてぜいたくすぎる。きっと天罰が下る。身の程を知らなければいけない。
そうだ、1杯500円で自分に売ることにしよう。今500円玉貯金をしている。500円硬貨がいつも手元にあるわけではない。無い時は飲むことを我慢する。こうすれば貯金はできる上、飲まないこともあるので少しは依存症から遠ざかるかも知れない。これなら月に4リットルでも2週間はもつだろう。一石二鳥の良い考えかも知れない。だが私は弱い人間である。この計画はすぐに挫折した。
結局、初回がすぐ無くなった失敗経験を基にして、最初の1杯目は極上の生ビール、2杯目は500ミリリットルの缶ビールにした。げすの浅知恵が働いた。空になった生プラ樽の中に缶ビールを入れてセットした。
味は元々飲んでいたエールビールだ。まあうまい。そして極上の泡である。缶ビールのまま飲むよりはるかにうまい。我ながら良いアイデアだと自己満足。アル中街道まっしぐら。結局、月8リットルコースになった。
(一部省略)
山口県 徳山医師会報 709号より