令和4年(2022年)2月20日(日) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース
新型コロナウイルス感染症対策に係る宿泊療養施設に関する調査集計結果(速報版)を公表
釜萢敏常任理事
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日本医師会定例記者会見 1月26日・2月2日
釜萢敏常任理事は、「新型コロナウイルス感染症対策に係る宿泊療養施設に関する調査」について、47都道府県医師会を対象に、2021年12月23日~2022年1月14日に実施し、2月2日時点で回答を得た46件の集計結果を速報版として報告した。
同調査は、新型コロナウイルス感染症第5波(2021年6~9月)時点における、各都道府県の宿泊療養施設の実態及び宿泊療養施設に勤務していた看護職の雇用(募集方法、雇用形態等)について明らかにするとともに、今後の政策提言に資することを目的として実施したものである。
質問・回答内容は以下のとおり。
(1)都道府県内の宿泊療養施設の入所者が最も多かった月の宿泊療養施設における医師の配置について
「医師は往診やオンライン診療のみで対応した」が23・9%、「医師は24時間体制で常駐していた」が10・9%、「日勤帯のみ医師を配置した」が6・5%、「医師の配置はなかった」が4・3%であった。調査の中では、「その他」が半数以上を占め、その中では「夜間のみオンコール」「24時間オンコール」で対応しているとの回答があった他、一部の都道府県では、施設ごとに医師の配置を換えて対応していることが明らかになった。
(2)都道府県内の宿泊療養施設の入所者が最も多かった月に、宿泊療養施設で実施していたこと(複数選択可)
「看護師による健康観察(44件)」「医師による診察(23件)」「施設内で医師による酸素投与や薬剤投与(18件)」の順に回答が多くあり、「その他(13件)」では、胸部レントゲンや血液検査の実施などのケースが挙げられた。
(3)都道府県内の宿泊療養施設の入所者が最も多かった月に、宿泊療養施設に滞在している陽性者の症状が重症化した際、適切に医療機関へ搬送できたか
「適切に搬送できた」及び「ほぼ適切に搬送できた」と回答した都道府県は80%以上にのぼり、「あまり適切に搬送できなかった」と回答した都道府県は8・7%であった。
(4)本調査で挙げられた第5波における宿泊療養施設に関する課題
課題の一部として、①感染急拡大に伴う施設や人材の確保②看護職員のスキル③宿泊療養施設開設にあたる関係者への説明④看護職員の雇用管理―が挙げられた。
①では、第5波では感染拡大のスピードが速かったため、宿泊療養施設の新規開設などの迅速な対応が求められたが、「新型コロナワクチン接種やオリンピック開催等により、医療従事者の需要が急増したことから、人材確保が困難となった」という意見が寄せられた。
②では、民間の職業紹介事業所から派遣された看護職員は経験や能力に差があり、新たなトレーニングが必要であった他、雇用契約内容がさまざまであるため、現場の医師はどこまで仕事を任せて良いかの判断が困難であったことが報告された。
③では、宿泊療養施設の開設にあたり、近隣住民や施設関係者からの理解を得ることに時間が掛かったことが挙げられた。
④では、一部の都道府県では医師会が雇用管理を行っているが、「感染拡大に伴い、契約や給与の支払い等の事務的負担が増大し、行政との予算交渉に時間を要した」という意見が寄せられ、現場の負担軽減が求められた。
最後に釜萢常任理事は、自宅療養におけるさまざまな課題についてもヒアリングを行い、その結果が近々まとまる予定であることを明らかにするとともに、「これらの結果を基に、宿泊療養及び自宅療養に対する地域や医師会の役割についてしっかり整理し、今後の対策につなげていきたい」との考えを示した。
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日本医師会総合政策研究機構 TEL:03-3946-2121(代)