令和4年(2022年)3月20日(日) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース
自由診療におけるオンライン診療の不適切事例について(医薬品の適応外使用)
今村聡副会長
- 000
- 印刷
日本医師会定例記者会見 3月2日
今村聡副会長は、自由診療としてオンライン診療による「糖尿病治療薬の適応外使用」(「GLP―1ダイエット」と広告・宣伝し、GLP―1受容体作動薬を処方)を実施する医療機関が増加していることを問題視し、厚生労働省に対して適切な対応を改めて求めた。
同副会長は、この問題に関しては令和2年6月17日の定例記者会見においてもその問題点を指摘し、①健康な人が医薬品を使用することはリスクがある②医薬品の適正使用の観点から、このような行為を禁止すべき③医薬品は、治療が必要で効果が期待される人に対し投与されるべきであり、国民の健康を守るべき医師が治療の目的を外れた使い方をするのは医の倫理に反する―等の意見を表明。厚労省に対して、適応外使用が常態化している医療機関への納入調査並びに医薬品の適正な流通確保を要望している。
同副会長は、現在、インターネット上で横行している不適切な医療・医薬品広告を取り締まるネットパトロールついて、「限界がある」とした上で、「国が認めている保険診療さえ安全に行われれば、国民の健康が守られたと言えるのか。不適切な医学的行為が横行している状況は、真に国民の安全が守られているとは言えない」との認識を示すとともに、このような行為を行う医師がいることについても、「遺憾に思う」と述べた。
また、オンライン診療に関しては、「治療が必要でありながら、医療にアクセスできない患者に対し、必要な医療を提供する手段として有効活用されるべきオンライン診療が、エビデンス不十分な医学的処置の横行に拍車を掛けている」と強調。厚労省始め関係機関に対し、この問題を真摯(しんし)に受け止めることを求めた。
加えて、現在、医薬品の安定確保が課題となっていることにも言及し、本来、治療に用いるべき医薬品が不適切に流通し、健康な人が使用するような状況は日本医師会として看過できないとして、国に対し、保険外診療の実態把握、特に医薬品の流通並びに適応外使用による健康被害に関する早急な調査と実態把握を行うよう要望した。
その上で、同副会長は保険外診療について、「がんや難病等、生命に関わる病のため、保険外診療を選択せざるを得ない患者以外への不適切な投薬を防ぐ制度が必要なのではないか」と主張。メディアに対しては、医薬品の適応外使用の実態と、それによって起こり得る健康被害を啓発するための周知への協力を要請した。
問い合わせ先
日本医師会薬務対策室 TEL:03-3946-2121