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令和4年(2022年)3月18日(金) / 「日医君」だより / プレスリリース

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対する緊急声明並びにウクライナへの医療支援について

 中川俊男会長は3月16日の定例記者会見で、15日に47都道府県医師会との連名で「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対する緊急声明」を取りまとめ、全国の郡市区医師会に発出するとともに、英語版を世界医師会加盟112カ国医師会に送付したことを明らかにした。声明では、ロシアの軍事侵攻に強く抗議するとともに、ロシア軍のウクライナからの即時撤退及び対話と交渉による一日も早い平和的解決を願うものとなっている。

 会見で中川会長は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻により、多くのウクライナ国民に多大な被害が及んでいる現状を憂慮しているとし、ウクライナへの医療支援として日本医師会が1億円を寄附したことに対して、ハイジ・ステンスミレン世界医師会長からお礼状が寄せられたことを報告。お礼状では、「寄附金は近隣諸国の医師会が支援を行う際に取り残されていないことを示すものでした。今団結することは、健康、民主主義、自由にとって非常に重要です。貴会のリーダーシップに感謝します。」と内容を紹介。欧州から遠く離れた日本医師会から1億円の寄附金が即座に送られたことは、医療支援をタイムリーに可能とし、かつ、世界の医療界がこの痛ましい戦況に着目し、医療支援の手を差し伸べている現実に、近隣諸国の医師会は、勇気づけられ、励まされ、取り残されていないことが実感されたとし、金額以上の価値があるものと受け止められたことに言及した。

 寄附金は「ウクライナ医療支援基金」の原資となり、運営委員会が管理し、世界医師会、欧州医師常設委員会、欧州医師会フォーラム及び近隣の各国医師会で構成されるタスクフォース・ウクライナが運営を担うことを概説。中川会長は、オトマー・クロイバー世界医師会事務総長からの招待により、タスクフォース・ウクライナに参加し、提案を行っていくことになったことを明らかにした。

 ウクライナへの医療支援活動では、欧州における医療物資の調達が困難とされる中、ウクライナ医師会から入手したリストに基づく医療物資はイスラエルで調達されたことを概説。医療物資は、在イスラエルのウクライナ大使館がポーランドへ、マゾフシェ県知事の支援によりワルシャワからウクライナ国境へ、国境でウクライナ医師会が受け取り、国内の医師へ配布されることになっているとし、タスクフォース・ウクライナでは、引き続き医療物資の調達と搬送ルートの確保に取り組んでいくことを強調した。

 また、世界医師会からの情報として、ドイツからの遠隔医療等の医療機器の提供、イスラエルやアメリカからの野戦病院の設置に向けた支援など、様々な国からの大きな支援の波があることを報告。さらに、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)では、過去3週間で避難民は280万人と推定しているが、ウクライナ人はEUのビザを必要とせず、支援を要さない場合は登録の必要がないため、世界医師会では、実際の数はもっと多いと推定していることに言及した。今後も、ウクライナへの医療支援の状況に関し、世界医師会からの情報をもとに、必要に応じて定例記者会見で報告していく意向を示した。

 最後に同会長は、今回の寄附金の意義を改めて実感したとして、都道府県医師会を通じて全国の医師会及び会員に引き続き寄附を呼び掛けていくとした。また、日本製薬工業協会、日本製薬団体連合会からも、全面的に協力するとの連絡を受けたことを明らかにした。そして、ステンスミレン世界医師会長がビデオメッセージを通じて世界の医療界に支援を呼びかけていることを紹介し、「日本医師会による医療支援が世界医師会の枠組みを通じてウクライナ国民に確実に届き、一人でも多くの命が救われることを心から強く望む」とした。

世界医師会プレスリリース(2022年2月24日、25日)
世界医師会プレスリリース(2022年3月9日)
世界医師会長お礼状(2022年3月15日)

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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