日本医師会定例記者会見 3月9・16日
中川会長は、昨年、後発医薬品を製造する企業のうち8社が、国から承認された内容と異なる手順で医薬品を製造するなど、組織的なコンプライアンス欠如により、医薬品医療機器等法に基づく業務停止命令を受けたことを取り上げ、「この影響で、通常どおりの出荷ができていない医薬品が昨年12月時点で約3000品目あり、医療現場では、他の医薬品への処方変更や医薬品卸との頻回な納入交渉など、医療提供に支障を来している」と強調。
本問題は、後発医薬品の製造や出荷の長期間停止・縮小したことが発端ではあるが、その影響を受けて、同じ成分規格や類薬を製造販売する先発品及び後発品メーカーにおいても、在庫が激減するのを防ぐために出荷を控えたり、新規の受注を断ったりすることも原因となっていると指摘した。
その上で、業界に対しては、供給停止になっている医薬品の早期の供給再開を求めるとともに、供給量が増加するよう、日本製薬工業協会、日本製薬団体連合会がリーダーシップを発揮して業界全体で早急に対処することを要望。更に、日本医薬品卸売業連合会にも協力を求め、「このような非常事態においては、先発・後発に関係なく、業界全体による国民の医療を守るための真剣な取り組みを期待する」と述べた。
一方、患者に向けては、「医薬品の供給不足によって、今まで処方されていた薬が処方してもらえないため、不安に感じている方もおられると思うが、治療を継続するために医師が責任をもって適切な別の薬に変更するので、安心して薬物治療を受けて欲しい」と呼び掛けた。