日本医師会定例記者会見 3月9・16日
中川会長は3月16日の記者会見で、3月21日までのまん延防止等重点措置が全面的に解除される見込みであること(17日に正式決定)に理解を示すとともに、解除後も感染防止対策の継続とワクチン接種の推進が重要であることを改めて訴えた。
感染状況
18都道府県が対象とされているまん延防止等重点措置は、3月21日に全面解除の見通しであるが、それに先立ち、3月11日に開催された新型コロナウイルス感染症対策分科会において、これまでの解除の判断基準を緩和する方針が承認されたことに触れ、「今回の考え方は大幅な方針転換である」と指摘。
政府が、オミクロン株主体の第6波において、コロナとの共存に大きく舵を切ろうとしていることに一定の理解を示した上で、「オミクロン株の下位系統であるBA.1からBA.2への置き換わりが急速に進み、感染が再拡大した場合には、速やかに重点措置の適用などの対策をとって頂きたい」と要望した。
また、諸外国のように制限を一気に廃止するのではなく、感染拡大につながりにくいと分かったものから徐々に制限を緩和すべきだとし、経済活動を両立させることが求められつつある中で、これからも感染防止対策が必要であることを強調した。
ワクチン接種
3回目の追加接種については、1日約100万回を超え、接種率は全体で3割、高齢者で7割を超えたことを報告する一方、集団接種会場でかなりの空きが見られていることを憂慮(ゆうりょ)。「オミクロン株は、たとえ感染しても軽症で済むのではないかと、ワクチン接種の意義が実感しにくいことなどがその要因として考えられるが、オミクロン株でも重症化し、死亡者数も多くなっている」とし、ワクチン接種を更に推進していく必要があるとの考えを示した。
4回目の接種に関しては、これまでの経験を踏まえ、ワクチン供給量を十分に確保する道筋を付けた上で、3回目接種との間隔などエビデンスのあるデータが出そろった段階で、政府が判断するよう求めた。
中川会長は、これから、卒業、入学、就職、花見といった人の移動や交流の機会が増える季節を迎えることを踏まえ、「無症状や症状が軽い方からも感染は広がるので、感染対策を徹底して、日常生活を送って頂き、まだワクチン接種を受けていない方は、新生活が始まる前に接種を受けて欲しい」と述べるとともに、疑問や不安がある場合には、かかりつけ医に相談するよう促した。
なお、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会からの注意喚起については、3月9日の記者会見で橋本省常任理事が説明を行った。
同常任理事はオミクロン株の感染において、咽頭、気管の発赤(ほっせき)や腫脹(しゅちょう)、白苔(はくたい)など高度な炎症が見られる症例や、急性声門下喉頭炎等により上気道狭窄を呈し気道確保を要した症例などが寄せられているとし、その診断には内視鏡が必要であり、通常の診察では分からないこと等を詳細に説明。「吸気時の息苦しさ、嗄声(させい)、強い喉の痛みを訴えるのに咽頭の発赤が見られない場合などには、専門科へ紹介して欲しい」と述べるとともに、救急搬送時には高度医療機関に搬送することなどを呼び掛けた。