令和4年(2022年)5月20日(金) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース
2020・2021年度病院委員会審議報告「新型コロナウイルス感染症の流行下における医療提供体制と病院の役割」まとまる
橋本省常任理事
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日本医師会定例記者会見 4月20・27日
橋本省常任理事は、2020・2021年度の病院委員会の審議報告が4月15日、松田晋哉委員長から中川俊男会長に手交されたことを報告し、その内容を紹介した。
今期の病院委員会の諮問は「新型コロナウイルス感染症の流行下における医療提供体制と病院の役割」であり、委員会では、新型コロナウイルス感染症の流行が続く中で、コロナに対応するための医療提供体制について、病院の立場から役割の検討が行われた他、審議に際しては、各委員より、それぞれの地元のコロナ対応や課題の情報提供とともに、活発な意見交換が行われた。
同審議報告は、(1)はじめに、(2)医療提供体制に関するアンケート結果から、(3)提言、(4)コロナの出口戦略、(5)慢性期医療について、(6)精神科領域について―により構成されている。
(2)では、①入院医療②診療所の提供する医療―について、委員会が都道府県医師会に対して行ったアンケート調査結果を基にした考察、フランスやイギリスの事例紹介も行われている。
特に、フランスが日本のG―MISも参考にして構築したデジタル情報化システムが医療現場の負担軽減につながった事例は、日本において、G―MISと他の複数のシステムがバラバラに稼働し、デジタルと紙の併存や多すぎる入力項目が、医療現場や保健所にとって大きな負担となったことに対して、参考になるとした。
(3)の提言は、(2)の結果を受けてまとめられたものである。まず、人口1000人当たりの「症例数」「死亡者数」は諸外国に比べ桁違いに少なく、「わが国の医療現場におけるCOVID―19対応の状況は決して諸外国のそれに劣るものではない」ことを強調。
また、各都道府県で行政と医師会、病院団体等が協力した結果、壊滅的な医療崩壊を回避させた現場関係者の努力は正しく評価される必要があるとする一方、今回のコロナ禍が、わが国の医療介護提供体制が抱える脆弱(ぜいじゃく)性を顕在化させたとし、その改善のため、以下の七つの提言を行っている。
①情報の標準化とその共有及び柔軟な活用を行う体制の整備、その前提としてのマイナンバーカードの活用
②地域医療計画及び地域医療構想の実効性の向上
③急性期を担う病院の集約及び大規模化と十分な人員の配置、そしてそれを可能にする診療報酬あるいは予算制度
④医学教育、看護教育の改革
⑤複合化したニーズを持つ患者の在宅医療を可能にするテレメディシンの導入と在宅入院制度の制度化
⑥病診連携の強化のための新しい登録医制度の導入
⑦日本医師会の強いリーダーシップと広報活動
提言のうち、①では、コロナ禍で顕在化したわが国の情報基盤の脆弱性に対応し、改善・強化していくために、医療情報システムのあり方の再検討は必須であるとするとともに、電子カルテの標準化が最重要事項の一つと指摘している。
更に、⑥では、わが国において多くの地域で郡市区医師会主導により構築されている、小児科の開業医が地域の小児救急を支える体制を救急医療にも採用し、コロナのような健康危機管理時には、多くの人員が確保できる平時の準備が必要との提案が行われている。
その他、フランスで採用されている、退職後間もない医療関係者や初期研修医等が、任意で「予備役制度」に登録し緊急時の応援に駆け付けるという、わが国のDMATと同様の仕組みを参考にする等の提案も行われ、今後の積極的な議論への期待が示された。
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