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令和4年(2022年)5月20日(金) / 日医ニュース

医療機関における働き方改革をテーマにシンポジウムを開催

医療機関における働き方改革をテーマにシンポジウムを開催

医療機関における働き方改革をテーマにシンポジウムを開催

 第43回産業保健活動推進全国会議が4月15日、日本医師会館小講堂で、WEB会議システムを用いて開催された。
 開会に先立ち、後藤茂之厚生労働大臣〔高倉俊二厚労省労働基準局安全衛生部労働衛生課長(当時)代読〕、中川俊男会長、有賀徹労働者健康安全機構理事長、清水英佑産業医学振興財団理事長があいさつを行った。
 中川会長は、2024年4月から始まる「医師の働き方改革」に向けて、日本医師会としても、長時間労働医師の面接指導を行う医師養成のためのe-learning研修の準備も進めていることを明らかとした上で、「医師を中心とした医療機関の働き方改革は、病院の産業医だけでなく、より多くの産業医に知って欲しい重要事項」であることを強調。そのため、今年度の全国会議では例年行っている産業保健総合支援センター、地域産業保健センターの活動報告に加え、シンポジウムのテーマとして、医療機関における働き方改革を取り上げたとして、その成果に期待感を示した。

(1)産業保健総合支援事業に関する活動事例報告

 活動事例報告では、大西洋英労働者健康安全機構総括産業保健ディレクターを司会に、①「北海道における治療と仕事の両立支援の認知度調査」(鳴海志織北海道産業保健総合支援センター産業保健専門職)②「愛知産業保健総合支援センターの両立支援に係る取組」(余語修一郎愛知産業保健総合支援センター副所長)③「地域窓口から両立支援事業へ」(濵恵美徳島産業保健総合支援センター産業保健専門職)―の活動事例等の報告並びに質疑応答が交わされた。

(2)シンポジウム

 続いて、神村裕子常任理事、相澤好治日本医師会産業保健委員会委員長が司会を務め、「医療機関における働き方改革―医療の質の向上を目指して―」をテーマとしたシンポジウムが行われた。
 坪井宏徳厚労省医政局医事課医師・看護師等働き方改革推進官は、「医療勤務環境改善支援センターによる『雇用の質』の向上」をテーマに講演。医療勤務環境改善支援センターの活動内容を説明した上でその活用を促すとともに、勤務環境改善マネジメントシステムの流れ、医療機関において医師の働き方改革を進めるに当たっての留意点等について説明した。
 松本吉郎常任理事は、「医療機関勤務環境評価センター」(以下、評価センター)をテーマに、まず、2024年4月から始まる医師の時間外労働規制に関係する医療機関に対して水準の指定を行うのは都道府県であることを概説。
 その上で、①都道府県の指定を得るには、2022年4月1日に日本医師会が厚労省から指定された評価センターの評価を受ける必要がある②評価センターの事業内容は制度の周知・広報、医師の労務管理の体制・運用状況や労働時間短縮のための取り組み及び成果の評価、サーベイヤー(医療機関の評価者)の研修等があり、評価項目は「ストラクチャー」「プロセス」「アウトカム」に大別される88項目(内28項目が必須)からなる―こと等を説明した。
 また、制度の開始まで既に2年を切っており、医療機関からの書面書類受け付けから、当該医療機関の承認まで5~6カ月を要するため、余裕をもって指定申請を行うよう要請した。
 中嶋義文日本医師会医師の働き方検討委員会委員は、「長時間労働医師への面接指導」をテーマに、長時間労働医師に対する面接の要件や方法、実施に当たってのルールづくりや記録保存が病院管理者に求められること等を概説した。
 佐藤文彦元順天堂大学准教授は、順天堂大学静岡病院糖尿病・内分泌内科における自身の取り組みの他、コーチングを用いて医師の働き方改革に取り組んでいる医療機関の好事例や実績等について、麻生泰株式会社麻生代表取締役会長は、医療機関の経営者として、医師の働き方改革や勤務時間短縮のために実践しているさまざまな手法等について、それぞれ講演した。

(3)協議

 引き続き、堀江正知日本医師会産業保健委員会副委員長を司会に協議が行われ、高倉厚労省労働衛生課長、神村常任理事、大西労健機構総括産業保健ディレクター、井上真産業医学振興財団事務局長の4氏が、埼玉、山梨、香川の各県医師会から事前に寄せられていた質問に対する回答を述べた他、都道府県医師会との間で質疑応答が行われた。
 神村常任理事は、山梨県医師会から寄せられた、「産業医による面接指導のスキルアップのために、県医師会として今後どのように取り組んでいくか」との質問に対し、面接指導医師のためのe-learning教材の作成が、令和3年度より厚労省の委託事業として進められ、作成には松本常任理事を始め、既述の中嶋・堀江両医師も参画していることを報告。同教材を令和4年度の早い段階で完成させ、研修の受講を推進させるとともに、認定産業医の研修会としての実施の検討が必要であるとの認識を示し、教材の広い活用を求めた。
 また、香川県医師会から寄せられた、「日本医師会Web研修システムの地域での実用化の時期と、全国的なWeb研修会の定期的な実施について」の質問には、本人確認等のための顔認証システムに関し、各都道府県医師会の産業保健担当職員向けの説明会を4月27日に行う予定であることを報告。
 その上で、各都道府県医師会でのWeb研修会の実施については、4月21日に埼玉県医師会で試行実施(関連6面)、6月頃にも再試行を実施し、必要な改修等を行った上で、7月申請分(8月1日以降開催分)より可能とする予定であるとした。
 また、日本医師会主催の産業医Web研修会開催についても、早期の開催を前向きに検討すると述べる一方、研修の質の確保には、地域性が考慮された内容とする必要性を強調。講義のみならず、産業保健全般に関する相談や質問も可能な対面型の研修を基本としつつ、必要に応じてWeb研修システムを用いた産業医研修会を実施していく意向を示し、理解を求めた。

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