閉じる

令和8年(2026年)7月20日(月) / 日医ニュース

代表質問の回答要旨

1.「糖尿病」の病名変更について

 間中英夫代議員(山形県)は、糖尿病の病名変更に関して、日本糖尿病対策推進会議で病名変更の議論がなされたか確認するとともに、病名変更や会員へのアンケート調査の実施に対する日本医師会の見解をただした。
 佐原博之常任理事は、「同会議において、議論が行われたことはない」とした上で、日本医師会としては、病名に伴う誤解や偏見による精神的負担、社会的不利益をもたらしてしまうことは重要な問題と捉えていると強調した。
 一方、現病名は深く浸透し、様々な場面で使用されている実態に言及し、国や関係団体、国民の意見を踏まえた丁寧な合意形成が必要であり、混乱や現場への過度な負担が生じないよう慎重に進める重要性を説いた。
 また、会員へのアンケート調査については、有効な方法の一つであるとしつつも、調査実施の際には病名変更の目的や必要性の説明が不可欠であると指摘。関係団体と共に検討し、調査の必要性を判断したいとした。
 その上で、「日本医師会としても、国民に分かりやすく、現場においても混乱や過度な負担が生じない対応となるよう、慎重かつ丁寧に進めていきたい」として、理解を求めた。

2.地域フォーミュラリの推進について

 城之内宏至代議員(茨城県)は、地域フォーミュラリの推進に関連して、(1)医師の処方裁量と地域標準化の関係、(2)医薬品供給不安時における採用品目集約化のリスク、(3)医師会が主体的に関与し、地域医療の実情を反映させるための対応―について質問。
 長島公之常任理事は、(1)について、「地域フォーミュラリによって医師の処方権、裁量が制限されることはあってはならない」と強調した上で、「国は、推奨リストに挙げられている医薬品はあくまで推奨薬としているものの、実際の運用次第では何らかの制限につながる懸念もある」として、注意喚起していく意向を示した。
 (2)では、特定のメーカーや推奨薬に処方が集中した際、欠品や供給停止も起こり得る一方、医薬品利用の見込みが立てられることで供給不安への備えとなる側面もあることを説明。その上で「地域フォーミュラリの検討以前に根本的な問題である医薬品の供給不安は解消されていない」として、引き続きその改善を求めていくとした。
 (3)では、「地域フォーミュラリの検討においては都道府県医師会が主体的に関与すべき」とした上で、検討の場に関しては、「既存の会議体の活用ではなく、医師会が主体的に関与できる新たな会議体の設置が適切」と主張。推奨薬リストについては、「作成ありきではなく、連携の現状、課題等に応じて作成しないなど、医師会が主導して検討すべきである」と述べた。

3.医療に係る消費税問題について

4.消費税問題、物価高の今こそ抜本的見直しのチャンスではないか?

5.消費税非課税維持での控除対象外消費税負担にどう対応するか

6.医療機関の経営を圧迫する仕入れ消費税に対する対応について

7.消費税問題について

 医療に係る消費税問題に関する鈴木伸和(北海道)、堀地肇(富山県)、加川憲作(岐阜県)、増田幹生(東京都)、北村良夫(大阪府)各代議員の質問には今村英仁常任理事が一括答弁を行った。
 同常任理事は、まず、日本医師会が都道府県医師会長を対象として行った診療所の医療に係る消費税問題に関するアンケート調査の結果概要について資料を基に説明。「現時点でどれか一つの方法に集約できる状況にはない」と述べるとともに、新執行部として改めてアンケート調査を実施する予定であることを明らかにした。
 その上で、消費税問題について多くの会員が十分に理解できていないとの指摘に対しては、既述のアンケート調査を行う際に送付した資料の活用を要望。さらに「課税転換に伴う補填(ほてん)の引きはがしや免税事業者への影響等、小規模診療所を中心とするデメリットは看過することはできない」と述べるとともに、消費税問題の検討に当たっては、消費税だけではなく、周辺の制度への影響も十分に勘案する必要があるとの考えを示した。
 また、今後については「消費税問題の解決のためには国民や国会議員の先生方の理解を得ることが欠かせない」とし、税制要望に向けて、これらを踏まえ、会内の医業税制検討委員会で更なる検討を慎重に進めていく考えを表明。加えて、検討に当たっては、地方の医療を支えている高齢の医師を含めた先生方が制度変更の影響を受けて万が一にも閉院してしまい、地域医療の崩壊につながることのないようにすることが重要と強調した。
 その他、病院建物を始めとする高額投資に係る融資等の措置を求める要望に関しては、「喫緊かつ重要な指摘である」とした上で、補助金等により負担を軽減する措置も含め、早急な対応を国に求めていくとし、理解を求めた。

8.離島・へき地における医療・介護従事者の確保について

 離島・へき地における医療・介護提供の在り方、地域の実情に合った従事者の確保対策について日本医師会の見解を問う黒田篤代議員(鹿児島県)の質問には濱口欣也常任理事が回答した。
 同常任理事は「離島・へき地においては、国や自治体が果たすべき役割・責任は大きい」とした上で、医師については、新たな地域医療構想において、大学病院本院に医師派遣を担う機能が制度として明確に位置付けられたことを説明。また、「日本医師会ドクターバンク」の有効求職者数の29%が、医師不足地域での就業を可としていることを示した上で、いかにこの先生方を就業につなげるかが今後の課題になるとした。
 看護職員に関しては、地元自治体の支援を受けてサテライト運営を行っている鹿児島県の種子島の好事例を参考にしながら、引き続き、地域に必要な養成所を残すための支援を求めていく考えを示した。
 介護人材については、中山間・人口減少地域における人員配置基準の弾力化を含む社会福祉法等の改正案が国会で成立したことを紹介するとともに、令和9年度介護報酬改定に向けて検討が行われる中で、離島・へき地での課題や要望等を踏まえて議論に臨んでいくとした。
 その上で、同常任理事は「医療や介護の担い手を確保するためには、他産業と遜色のない処遇改善が不可欠である」と強調。引き続き国に対して、必要な財源の確保を求めていくとした。

9.ナース・プラクティショナー制度に対する日本医師会の考え方について

 大木實代議員(福岡県)は、(1)ナース・プラクティショナー(NP)の現状に対する見解、(2)NP養成を目的とした大学院教育の拡大、(3)仮に制度化する場合の条件―について質問し、城守国斗副会長が回答した。
 (1)では、日本医師会はこれまで①医療の質・安全確保②行為責任の所在③現場での需要量と新たな資格創設の必要性―等の観点から、NP創設には一貫して反対してきたことを説明。「現場の課題解決には、あくまで特定行為研修制度を活用していくべきである」との見解を述べた。
 (2)では、現在大学や民間機関がうたっているNPは「医行為まで実施できる新たな国家資格ではない」ことを国民及び医療者に周知徹底することが必要であり、引き続き国に対して、周知徹底の実施など、現状への適切な対応を強く求めていく姿勢を示した。
 (3)では、NP制度の創設には反対の立場であることを改めて強調。医療現場での対応困難事例等に対しては、「現行の特定行為研修制度の見直しや医療DXも含めた、地域連携体制の強化により対応すべきである」と述べ、引き続き特定行為研修制度に対する医師への周知や理解促進に努めていくとした他、医療機関に対しては訪問看護ステーションとの連携体制の改善等への協力を求めた。

10.外来・在宅ベースアップ評価料はどうあるべきか

 上田昌博代議員(新潟県)からの、外来・在宅ベースアップ評価料の在り方に関する質問には、江澤和彦常任理事が回答した。
 同常任理事はまず、医療従事者の処遇改善について、賃上げに必要な原資は本来、基本診療料を中心とした評価に十分上乗せした上で実施すべきとの日本医師会の考えを改めて強調。無床診療所の外来・在宅ベースアップ評価料が初・再診料に統合されなかった理由については、「診療所の届出率が低かったことに加えて、現在の厳しい医療保険財政においては改定財源がどのように使われたのかを検証できることが必要とされており、ベースアップ評価料の算定が賃上げに確実に活用されることが強く求められたためである」と説明した。
 今後のベースアップ評価料の在り方に関しては、「医療従事者の賃上げが目的であり、より確実に実行できるのかが重要な観点である。幅広い視点で総合的に勘案し、入念に検討していくことが求められる」と指摘。その上で、「現時点では診療所においても積極的な算定が重要であることに変わりはない」と述べ、日本医師会としても、現場の事務的な負担をできる限り軽減できるよう、算定をサポートする取り組みを引き続きしっかりと進めていく姿勢を示した。

11.ヘルスリテラシーの向上に向けて

 木村隆代議員(滋賀県)からの、保健事業の中でのヘルスリテラシーの向上に向けた日本医師会の考えを問う質問には、松岡かおり常任理事が回答した。
 同常任理事は、学校保健における健康教育について「重要なのは、保健の授業とそれ以外の健康教育が系統立って計画されるよう、地域医師会や学校医が教育委員会や学校に働き掛けることと、計画の中に保護者への健康教育を盛り込むことである」と指摘。また、現在、学習指導要領改訂に向けて、保健体育の教科書がより実践的で行動変容に資するものとなるよう働き掛けを行っていることを報告した。
 産業保健の健康教育を巡っては、国が定めた「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」において、事業場に対し計画的に健康教育などの活動を行うことが求められているが、従業員50人未満の事業場では難しく、今後の課題とした。
 さらに、かかりつけ医機能を生かしたヘルスリテラシーの向上に関しては、医療者には医学的知見に基づき、寄り添い、支援する伴走者としての役割が期待されているとして、「ヘルスリテラシー向上のため、多くのかかりつけ医に健康教育へ関わってもらいたい」と呼び掛けた。

12.学校保健におけるメンタルヘルス対策と健康教育について

 石和俊代議員(大分県)からの、(1)児童・生徒のメンタルヘルスへの取り組み、(2)健康教育をかかりつけ医等が個別指導で行うこと―に関する質問には渡辺弘司常任理事が回答した。
 同常任理事は、(1)について、会内の学校保健委員会の答申において、児童生徒のメンタルヘルスについて様々な提言がなされていることを紹介。また、文部科学省の委託調査「心の健康観察アプリ研究事業」が始まる予定であることにも触れ、アプリの特徴については日本医師会で今後検証する意向を示した。
 また、学習指導要領改訂に関する検討が行われている文科省中央教育審議会「体育・保健体育、健康、安全ワーキンググループ」の議論の中で、年齢に応じて早期から「心の健康」を学習することの重要性を指摘してきた結果、現時点の「取りまとめ骨子案」の図に「心の健康」が中学1年生から反映されるようになったことを報告した。
 (2)に関しては、日医総研のワーキングペーパーで紹介されている調査結果を踏まえ、各地の医師会に対して「学校での問題を学校医だけに委ねるのではなく、地域を面で支えてもらいたい」と要望。個別指導への参加を希望する医師に対しては、小児科医会等と連携して研修会を開催するなど、支援体制を検討する考えを示した。

13.医師会の組織力強化について

 医師会の組織力強化に向けた今後の対応方針などに関する齊藤道也代議員(福島県)の質問には、藤原慶正常任理事が回答した。
 同常任理事は、地域によって会員数の減少や組織率の低下が課題となっていることを踏まえ、地域の実情に即した様々な工夫を連絡協議会等で紹介し、横展開に努めていることを説明。また、今期から国立大学協会と日本私立医科大学協会より推薦された2人を新たに参与に迎え、連携を強化する考えを示した。
 また、入会のメリットを研修医や若手医師に伝えるため、日本医師会役員が各地のオリエンテーション等に出向いていることにも触れ、「医師賠償責任保険や医師年金などの会員サービスや、医師会活動の意義を丁寧に伝え、引き続き入会の促進につなげていく」とした。
 SNSの活用に関しては、新たにInstagramの公式アカウントを7月に開設する方針等に触れた上で、「現在の体制を充実させていく中で発信力を強化する」との意向を表明。加えて、MAMISに蓄積されたデータを分析し、勤務医や若手医師を始めとする各層のニーズに応じた組織強化策の立案や、登録されたデータの活用によるプッシュ型の情報発信などにも取り組む姿勢を示した。

14.国民に恩恵を与える施策としての予防接種事業について―積極的予防医学の柱となるために―

 田山正伸代議員(徳島県)は、予防接種に対する誤った認識がSNS等で拡散され、定期接種率の低下やワクチン不足が国民の不利益につながっている現状を踏まえ、現在の予防接種体制の課題認識と国への働き掛け、国民への啓発活動について質問した。
 笹本洋一常任理事は、課題として、(1)予防接種体制の地域差、(2)ワクチンの安定供給と国内での製造・開発支援、(3)定期接種の対象拡大、(4)国民に対する予防接種啓発活動―があると指摘。(1)については、国が財政支援も含め自治体を適切に支援するよう求めていくとした。(2)については、本年4月に国が策定した指針を踏まえ、平時からの供給状況の把握や需給逼迫(ひっぱく)時の対応、国内の製造・開発体制の構築を引き続き要請するとした。また、(3)については、おたふくかぜワクチン、RSウイルス抗体製剤、男性のHPVワクチン接種等の定期接種化にも言及した。
 さらに、(4)については、科学的根拠に基づく正しい情報発信の重要性を強調し、動画配信や啓発資料作成、麻しん流行を踏まえた注意喚起を行ってきたことを紹介。引き続き、国・自治体・医療機関が一体となった体制構築に取り組む考えを示した。

15.今後の中小規模病院の機能分化について具体的方向性や判断基準を明示してほしい

 若林久男代議員(香川県)は、令和8年度診療報酬改定や新たな地域医療構想により病院の機能分化が進む中、中小規模病院が今後担うべき機能や判断基準が不明瞭であるとして、具体的な方向性と情報発信を求めた。
 江澤常任理事は、DPC標準病院群が二つの評価区分に分かれる方向であっても、急性期病院A・B以外の中小規模病院の急性期病棟もDPC対象病院として継続的に届け出可能と説明。急性期一般入院料1を有する病院のうち、急性期病院A・Bを満たせないケアミックス型病院等では、地域包括医療病棟への移行も選択肢になるとし、同病棟の施設基準緩和等により選択しやすくなることを紹介した。
 また、急性期拠点機能は救急・手術だけでなく、災害医療、新興感染症対応、卒後教育、医師派遣等を総合的に担う機能であり、高齢者救急・地域急性期機能とは異なると指摘。中小規模病院には「治し支える医療」を担うことが期待されるとし、「地域の議論やデータを踏まえ、2040年の自院の役割を熟考し、今後の方向性を検討していくことが重要」と述べるとともに、日本医師会として有益な情報を随時発信していく意向を示し、理解を求めた。

16.新たな地域医療構想:2040年に向けた医療提供体制 人口減少が進む中での病床数の設定について

 上林雄史郎代議員(和歌山県)からの、新たな地域医療構想における、今後の人口減少や病床数に対する日本医師会の考えを問う質問には、坂本泰三常任理事が回答した。
 同常任理事は、人口減少下で病床数の在り方は重要な論点とした上で、(1)新たな地域医療構想においても、医療機関が自主的に現在や2040年の病床数を検討して病床機能報告を行うことに変わりはない、(2)必要病床数は全国単位ではなく、構想区域単位で考えることが大切である、(3)新たな地域医療構想には医療機関機能が加わり、連携・再編・集約化が一層推進されることになるが、必要病床数は地域の実情に応じて定めることが医療法に明確に規定されており、人口動態や受療率の変化に対応するために、必要に応じて見直すことになっている―ことなどを説明。
 その上で、「日本医師会は全国的な病床数の目標値を設定し、それに向けて削減することには反対である」と強調。「地域医療構想の根幹は、地域医師会等の関係者による協議、医療機能の役割分担と連携の推進、更には適切な財政支援により、病床数が将来ニーズに応じて自主的に収れんされていくことにある」として、理解を求めた。

17.少子高齢時代の小児系診療所の窮状について

 近年、構造的な変化により、経営環境が悪化している小児系診療所に関する首里京子代議員(東京都)の質問には黒瀬巌常任理事が回答した。
 同常任理事は、「特に小児医療の経営の脆弱(ぜいじゃく)性の改善は喫緊の課題と認識している」とする一方で、地域によって小児の人口減少の速度や医療提供体制・人材確保状況は大きく異なると指摘。「その解決のためには全国一律の診療報酬に加え、地域の実情に応じた国・自治体からの補助が有効」と述べ、日本医師会としても社会保障審議会等で地域格差を含む課題を明示し、解決を求めていくとした。
 営利目的を主とするオンライン診療や夜間往診などを介した不適切な診療が拡大しているとの指摘に対しては、小児医療の質を劣化させるとの危惧を表明。小児を含む初期休日夜間救急に関しては、全国の郡市区医師会等を対象として現在実施中の実態調査の結果を基に現場の危機感を訴え、その支援の実現を目指すとした。
 また、今後の小児診療体制については、在院型診療に加え、多職種・多施設協働による地域包括的体制を整備することが重要と指摘。「厳しい財政環境下ではあるが、学校医活動を始め、医師が担う多岐にわたる役割への適切な評価・支援を国に働き掛けていく」と述べるとともに、「その実現のためには医師会を中心に医療界が一つにまとまることが必要だ」として、理解と協力を求めた。

18.新型コロナ治療薬の包括化に関する制度改善の要望

 新型コロナウイルス治療薬の評価方法の見直しを国に働き掛けることを求める川島崇代議員(群馬県)からの要望には、茂松茂人副会長が回答した。
 同副会長は、(1)令和5年5月の5類移行に伴い、令和8年度診療報酬改定において、DPC/PDPSの診断群分類に医療資源を最も投入した疾病名として「新型コロナウイルス感染症」が設定され、出来高算定が廃止された、(2)令和6年4月以降には通常の医療提供体制への移行により、地域包括ケア病棟等の包括点数にコロナ治療薬も含まれる取り扱いとなった―ことなど、これまでの経緯を説明。また、包括化に関しては、中医協の議論の中で「コロナ治療薬は、非常に高額な薬剤となる他、1医療機関でアウトブレイクした場合には、ニーズが一度に多数発生する可能性があり、現場負担が大きい」と強く反対したことを強調した。
 その上で、「今回の改定では包括化されたが、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクは依然として高く、感染拡大時には慢性期病棟や介護保険施設で多くの治療が必要となることから、緊急時には特例措置(出来高算定)を再設定するよう国に対して強く要請する」とした他、感染拡大時以外に関しても、中医協の検証調査で包括化の妥当性を検証し、問題があれば見直しを求める意向を示した。

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる