自見はなこ参議院議員は5月18日に開かれた参議院本会議において、今国会に提出されたこども家庭庁設置関連法案に関する質問を行った。自見参議院議員が本会議で質問するのは当選以来今回が初めてのこととなる。
当日は、野田聖子内閣府特命大臣がこども家庭庁設置関連法案の趣旨と概要を説明した後、各党との間で質疑応答が行われた。
自見参議院議員は、いじめや虐待、ヤングケアラーの問題など子ども達を巡る昨今の問題は深刻であるにもかかわらず、その対応に当たる省庁はバラバラであることを問題視し、「政治は目の前の切実な問題に背を向けてはならない」と強調。
今回の法案については、「わが国で初めて子どもを社会の真ん中に据えて一元的に子どもに関する政策を推進していく機関をつくろうとするものであり、大きな意義がある」とした上で、(1)こども家庭庁設置に対する政府の決意、(2)こども家庭庁の人事戦略と地方展開の展望、(3)子どもの死因究明の推進、(4)こども家庭庁によるいじめ対策、(5)子どもの育ちと学びの連携、(6)児童手当の所得制限、(7)子ども政策と財源的な裏付け、(8)小学校就学前の子どもの学びに係る文部科学省とこども家庭庁との連携―など、八つの事項について、政府の見解を質した。
子どもに関する施策を推進していく決意を改めて表明―岸田総理
岸田文雄内閣総理大臣は、(1)について、「こども家庭庁に強い司令塔機能をもたせ、全ての子どもに対して必要な支援等が抜け落ちることがないよう、子どもや子育て世代の視点に立った政策を総合的かつ包括的に推進することができる体制を実現していく」との決意を改めて表明。
(2)では、自見参議院議員が、こども家庭庁の人事戦略として、①地方自治体からの出向者を戦略的に迎え入れる②子どもの課題に取り組む民間の人材を中核的な立場で積極的に採用し、権限のある役職に登用する③各省庁で将来幹部になる人材には若い時代に必ずこども家庭庁、あるいは地方自治体など子ども関連部局での勤務を昇進要件にする―ことなどを提案。これに対して、岸田総理は「自治体との人事交流の推進やこども家庭庁に民間の人材を積極的に迎え入れ、これらの人材に積極的に政策立案に関わってもらうことで、その経験や視点を生かしていきたい」と応じた。
更に、(3)に関しては、岸田総理がCDR(予防のための子どもの死亡検証)について言及。教育現場も含め、分野横断的な視点に立ちながら検討を進めることが重要と考え、効果的な予防策を導き出すため、厚労省において令和2年度からモデル事業を実施しているとした。その上で、こうした事業の実施状況を踏まえて、課題の分析を進め、こども家庭庁が厚労省や警察庁などの関係省庁と緊密に連携し、その強力なリーダーシップの下で、更に前に進めていくとの考えを示した。
野田特命大臣は、(4)について、子どもの権利・利益の擁護等の観点から、子どものいじめ防止等の対策を新たにこども家庭庁が担うことになると説明。「今後も文科省や地方自治体等と連携を図りながら、しっかりと取り組んでいきたい」と述べた。
また、(5)に関しては、教育など文科省が担う学びに係る行政と、児童福祉など育ちに係る行政が、それぞれの目的を追求する中で、専門性を高めつつ、必要な場面で調整し、密接に連携することによって、政府全体としての政策の充実の向上を図っていくとした。
(6)では、自見参議院議員が自民党有志の勉強会で行ったアンケート調査結果を基に、児童手当の所得制限に関する今後の対応について質問。野田特命大臣は「所得制限を設けるかどうかは、個々の制度の目的や支援方法などに応じて、それぞれ判断されるものである」との考えを示し、理解を求めた。
その他、(7)に関して、野田特命大臣は、「こども家庭庁の下で、子どもの視点に立って、必要な子ども政策は何かをしっかりと議論し、体系的に取りまとめた上で、社会全体での費用負担のあり方の検討と合わせて、子ども政策の充実にしっかりと取り組むことが重要になる」とした上で、引き続き、財源の確保に努めていく意向を示した。
更に、(8)に関しては、末松信介文科大臣が答弁し、「就学前の全ての子どもに質の高い幼児教育、保育を提供し、子どもの育ちと学びを保障していくことは極めて重要な課題である」と指摘。幼児教育に関しては、「文科省の下でこども家庭庁と密接に連携しつつ、小学校以降の教育との一貫性、継続性を確保し、施策の充実に努めていく」と述べた。