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令和4年(2022年)6月5日(日) / 日医ニュース

新型コロナや働き方改革への予算確保など4項目について要望

新型コロナや働き方改革への予算確保など4項目について要望

新型コロナや働き方改革への予算確保など4項目について要望

 「2023(令和5)年度政府概算要求に対する日本医師会要望の説明会」が5月10日、厚生労働省とのWEB会議で開催され、中川俊男会長、今村聡副会長、釜萢敏・松本吉郎・長島公之各常任理事が出席。要望(全文は日本医師会ホームページ参照)の実現に向け、趣旨を説明した。
 当日は中川会長のあいさつに続いて、松本常任理事が、(1)新型コロナウイルス感染症等への予算確保、(2)働き方改革への予算確保、(3)地域医療への予算確保、(4)データヘルス改革実現のための予算確保―の4項目について、項目ごとに要望の概要を述べた後、厚労省事務局よりそれぞれコメントがなされた。
 (1)に関しては、「新型コロナウイルス感染症患者の受入体制の拡充」「発熱外来診療体制(診療・検査医療機関、受診・相談センター)の維持・充実(診療・検査医療機関に対する診療実績に応じた補助事業の創設)」「新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金の復活、又は対象経費を問わない定額の支援金の創設」など12項目を挙げ、財源を確保し、施策の強化・拡充に資すること、及び補助制度の簡素化や迅速な交付等を求めた。
 これに対して熊木正人厚労省医政局総務課長は、「予算確保について、医療現場の実態を財政当局に説明し、伝えるのが我々の使命だ」と述べ、新型コロナに関するこれまでの対応状況等を説明。来年度予算についても、今回の要望を受けて検討するとした他、「病床確保料」に関する議論を今後のポイントとして挙げた。
 釜萢常任理事は、「病床確保料」について、病床転換や新型コロナに関する予測の難しさを強調し、厚労省からしっかりと財政当局に実情を伝えることを求めるとともに、各種時限的な措置の終了時期について、現場の状況を踏まえた対応を要請した。
 (2)に関しては、2024(令和6)年度からの医師の働き方の新制度施行に向け、「医師の働き方の制度の基盤整備」「教育、研究、臨床、地域医療支援を担う大学病院の働き方改革の支援」「医療従事者のタスクシェア・タスクシフト推進のための支援」「上手な医療のかかり方の推進」の4項目について、新たな予算措置及び現行予算の大幅な増額を求めた。
 これに対して山本英紀厚労省医政局医事課長は、「(新制度の施行まで)2年を切ったこの間の準備が非常に重要だと考えている」とした上で、今年度日本医師会が指定された「医療機関勤務環境評価センター」の事業などは厚労省としても大切に考えていることなどを説明した。
 その他、今村副会長は、男女や年齢等のダイバーシティを超えた医師の確保が重要として、医師の確保に関わる事業への補助金の確保・増額を改めて要望した。
 (3)では、かかりつけ医機能を中心とした医療提供体制や地域包括ケアシステムの充実のため、地域医療介護総合確保基金を始めとした支援策の強化の必要性などを指摘し、「地域医療介護総合確保基金の拡充及び柔軟運用」「地域医療介護総合確保基金以外の補助事業の拡充」「救急災害医療対策」の3項目について、新たな予算措置及び現行予算の大幅な増額を求めた。
 これに対して鷲見学厚労省医政局地域医療計画課長は、「地域医療は、中長期的な医療需要、人口構造の変化も踏まえながらしっかり守っていく必要がある」と述べ、地域の実情に応じた病床機能の分化・連携を進めるとともに、在宅医療の拡充や医療従事者の確保を図ることが重要などとして、必要な財源を確保していく姿勢を示した。
 (4)では、厚労省が提唱するデータヘルス改革実現のため、「医療機関等のサイバーセキュリティ対策費用支援」「HPKIカードの発行支援と一層の利用環境の整備」「オンライン資格確認をはじめとする医療ICTの導入支援」などの6項目について、新たな予算措置及び現行予算の大幅な増額を求めた。
 これに対して笠松淳也厚労省医政局研究開発振興課長は、厚労省はオンライン資格確認やマイナンバーカードを最大限活用した「データヘルス集中改革プラン」を進めているとした上で、「データヘルス改革に必要な予算の確保に引き続き取り組んでいく」と強調。HPKIの普及啓発に必要な施策などをしっかりと進めていく姿勢を示した。
 長島常任理事は、サイバーセキュリティについて、対策が周知されても実施するための財源がないことは喫緊の課題であることを指摘した他、令和5年1月稼働予定の電子処方箋(せん)について、普及には導入費用の全額補助が必要とした。
 説明会の最後には、伊原和人厚労省医政局長があいさつを行い、オミクロン株への対応やワクチンのブースター接種に対する日本医師会の協力に謝意を示した上で、4項目の要望について、「厚労省の問題認識と全く同じであり、概算要求に向けてしっかりと取り組んでいきたい」とした。

2023(令和5)年度概算要求要望

1.新型コロナウイルス感染症等への予算確保
(1)新型コロナウイルス感染症患者の受入体制の拡充
(2)発熱外来診療体制(診療・検査医療機関、受診・相談センター)の維持・充実(診療・検査医療機関に対する診療実績に応じた補助事業の創設)
(3)新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金の復活、又は対象経費を問わない定額の支援金の創設
(4)検査キットや治療薬等、必要な物資の備蓄・供給体制の構築
(5)新型コロナウイルス感染症以外の通常医療を分担する医療機関(救急医療、周産期・小児科、人工透析、がん等)への支援
(6)新興感染症に対応する人材の確保、医療従事者等に対する支援、補償
(7)ワクチン・抗ウイルス薬の開発・備蓄の拡充
(8)不測の事態に備えた余裕のあるワクチンの供給体制の整備
(9)安全な予防接種実施の推進
(10)感染症、予防接種に関する報告等の事務負担軽減
(11)メディア対策
(12)日本版CDCの創設

2.働き方改革への予算確保
(1)医師の働き方の制度の基盤整備
(2)教育、研究、臨床、地域医療支援を担う大学病院の働き方改革の支援
(3)医療従事者のタスクシェア・タスクシフト推進のための支援
(4)上手な医療のかかり方の推進

3.地域医療への予算確保
(1)地域医療介護総合確保基金の拡充及び柔軟運用
(2)地域医療介護総合確保基金以外の補助事業の拡充
(3)救急災害医療対策

4.データヘルス改革実現のための予算確保
(1)医療機関等のサイバーセキュリティ対策費用支援
(2)HPKIカードの発行支援と一層の利用環境の整備
(3)オンライン資格確認をはじめとする医療ICTの導入支援
(4)各種情報システムの一元化の推進
(5)医療情報連携の推進及び適切な活用のための環境整備
(6)AI・IoT研究・開発支援

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