令和4年(2022年)6月20日(月) / 日医ニュース
令和2・3年度地域包括ケア推進委員会答申「自立支援と重度化防止の視点を踏まえた地域包括ケアシステムの構築に向けて~新興感染症下の地域づくりにおける『かかりつけ医』への期待」
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令和2・3年度 会内委員会答申・報告書(全文は日本医師会ホームページ「メンバーズルーム」に掲載)
地域包括ケア推進委員会は会長諮問「自立支援と重度化防止の視点を踏まえた地域包括ケアシステムの構築に向けて~新興感染症下の地域づくりにおける『かかりつけ医』への期待」を受け、2年間WEB形式で検討を重ねた上で答申書を取りまとめ、4月21日、池端幸彦委員長(福井県医師会長)から中川俊男会長に提出した。
答申は、「はじめに~委員会答申取りまとめにあたり~」「1.地域包括ケアシステムの進化・深化のための課題と展望」「2.令和3年度介護報酬改定を踏まえた展開に向けて」「3.新興・再興感染症を踏まえた地域包括ケアシステムの推進に向けて」「おわりに~新興・再興感染症を踏まえた地域づくり~」で構成。参考資料として、地域で取り組まれている地域包括ケアの好事例が紹介されている。
「1.地域包括ケアシステムの進化・深化のための課題と展望」では、かかりつけ医には医療的機能と社会的機能があることを説明した上で、地域包括ケアシステムの構築に当たっては、地域住民との信頼関係を構築し、健診、母子保健、地域保健など医療を取り巻く社会的活動、行政活動に参加し、多職種連携の中心的な役割を果たすなど、かかりつけ医の社会的機能が期待されていることを記している。
また、地域包括ケアシステムが進まない要因を示すとともに、全世代を網羅(もうら)した地域包括ケアシステムの重要性について若い世代への理解を得るべく、学校や職域における教育体制を強化することや、「通いの場」におけるかかりつけ医への積極的な参画を求めている他、行政の縦割りの是正にも言及している。
更に、今後の予防の啓発においては、疾病や障害にならないためだけではなく、誰もが患者や障害者になり得ることを前提に、自ら健康習慣を日々実践することが目指すべき方向であるとし、地域ケア会議への医師の参加と専門職の積極的関与等の重要性に触れている。
「2.令和3年度介護報酬改定を踏まえた展開に向けて」では、令和3年度介護報酬改定において、「リハビリ、口腔ケア、栄養部門の一体的実施」「感染症や災害への対応」「科学的介護」など、施策の見直しや追加などが打ち出されたが、改定の目的を共有する必要性を指摘。特に、今回の改定で導入された「自立支援促進加算」の活用が、地域包括ケアシステムの進化・深化に向けて有効であるとしている。
「3.新興・再興感染症を踏まえた地域包括ケアシステムの推進に向けて」では、多職種及び多科連携の充実強化、ACPにおける本人の意思決定支援の充実や、ICTの活用、BCP(事業継続計画)の策定と活用などを取り上げている。
「おわりに」では新興感染症の範囲にとどめず、広く自然災害全般にも対応できるよう、地域包括ケア時代の医療・介護提供体制の再構築を進めることが医師会として重要であると本答申を総括している。