令和2・3年度 会内委員会答申・報告書(全文は日本医師会ホームページ「メンバーズルーム」に掲載)
医師の働き方検討委員会(委員長:須藤英仁群馬県医師会長)は、会長諮問「医師の働き方の新制度施行に向けた医師の健康確保と評価・審査機能の在り方」を受け、7回にわたる議論を重ねた上で答申を取りまとめた。
本答申は、「はじめに」に続き、(1)評価機能事業、(2)長時間面接指導医師の養成事業との関わり、(3)勤務医1万人調査―から構成されている。
冒頭の「はじめに」では、須藤委員長が本委員会に諮問された内容を紹介。「2024年4月の医師の働き方改革の制度開始に向け、ようやく一つの枠組みが出来つつあり基本的な形だけは整ったと考えている。」と述べている。
(1)では、厚生労働省の委託事業として、令和2年度から3年度にかけて行われた、「医師の労働時間短縮の取組の分析・評価のための『評価機能』(仮称)の設置準備に係る事業」について、①事業概要②教材作成③サーベイヤーの任用④研修の実施⑤模擬審査⑥評価組織体制の構築―に関する検討結果が記載されている。
(2)では、医師の働き方検討委員会の委員及び日本医師会の担当役員が有識者委員会に参画して実施された、令和3年度厚労省委託事業の「長時間労働医師への面接指導実施に係る研修の準備に関する調査・研究」の概要として、事業の目的や調査事業の範囲等が記載されている。
(3)では、2021年に日本医師会の勤務医1万人を対象に実施した「勤務医の健康の現状と支援の在り方に関するアンケート調査」(第3回調査)について、2009年、2015年に行われた2回の調査結果と比較しながら、2022年の勤務医の就労環境や健康度等の問題点を抽出している。
今回の調査結果については、「医師の勤務環境は徐々に改善している傾向にあるが、改善が進みにくい診療科や地域、施設の特徴に合わせた健康と勤務環境改善等の取り組み支援を継続するとともに、20~30歳代の若手医師、管理・指導等で負担が掛かっている40~50歳代の勤務医、新型コロナウイルス感染症の診療に従事している勤務医等の負担状況に合わせた健康支援を継続すること、中程度以上の抑うつ症状等、健康危機に直面している勤務医への早期の介入や組織的対応を促進してゆく必要性が示唆された。」とまとめられている。
最後に、「おわりに」では、堂前洋一郎副委員長(新潟県医師会長)が、「今後、勤務医は自分自身の働き方を把握し、改善することで、自身の健康と暮らしを守り、それが患者にとって医療の質・安全を確保することに繋がるという自覚を持って臨んでほしい。また、すべての勤務医が働き方改革の制度を熟知することも重要である。」としている。