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令和4年(2022年)9月5日(月) / 日医ニュース

産業保健委員会答申「新たに設置した連絡協議会における産業医支援事業の具現化―産業医活動の活性化と産業医の社会的地位向上を目指して―」

令和2・3年度 会内委員会答申・報告書(全文は日本医師会ホームページ「メンバーズルーム」に掲載)

 産業保健委員会(委員長:相澤好治北里大学名誉教授)は会長諮問「新たに設置した連絡協議会における産業医支援事業の具現化―産業医活動の活性化と産業医の社会的地位向上を目指して―」を受け、8回の議論を重ねた上で答申書を取りまとめた。
 答申は、「はじめに」「Ⅰ.産業医を取り巻く変化」「Ⅱ.全国医師会産業医部会連絡協議会の事業」「Ⅲ.産業医活動の活性化と社会的地位向上に向けた課題」「おわりに」で構成され、巻末には参考資料として「医師会対象産業医紹介実施状況に関するアンケート結果」などの別添資料が添付されている。
 Ⅰ.では、まず働き方改革関連法と医療法の改正を取り上げ、医師の働き方改革について触れている。
 今後、医療機関の管理者は、時間外労働が月100時間を超えると見込まれる勤務医師に対して面接指導を実施する必要があることから、面接指導実施医師、産業医、産業保健スタッフが連携した面接指導体制の構築や、管理者の対応すべきことなどを記している。
 また、化学物質管理に関する見直しに関しては、5年後を目途に、全ての危険・有害な化学物質を事業場が自律的に管理することになることを踏まえ、産業医に必要な化学物質についての知識を整理している。
 更に、コロナ禍によるテレワークの増加に伴い、労働者の職場、働き方が大きく変わったことを受け、一部の産業医活動に情報通信機器を用いることが認められたことや、産業医が担った事業場での新型コロナウイルス感染拡大防止対策、職域接種等の役割などをまとめている。
 Ⅱ.では、各産業保健団体と立ち上げた全国医師会産業医部会連絡協議会に関し、(1)スキルアップ、(2)情報提供、(3)相談対応、(4)事業場紹介、(5)活動支援―を柱に概説。(2)では、昨年10月より同協議会のWEBページの運用を開始し、情報を発信していることを紹介している他、(4)では、医師会による産業医と事業場のマッチングの重要性を強調し、産業医契約等支援モデル事業の検証結果を生かすべきとしている。
 Ⅲ.では、産業医を取り巻く環境が大きく変化していることから、幅広い知識を得るべく、生涯研修を受け続ける必要があることを指摘。その上で、常時従業する労働者数が50人以上の事業所では産業医の選任が徹底されるような仕組みの構築を求めるとともに、常時従業する労働者数が30人以上の事業場でも、産業医を選任すべき義務が課されるべきとの見解を示している。
 この他、産業医仲介業者の出現により、インターネットを通じた低価格で安易な産業医活動が提供されていることから、その実態を調査、監視していくことの必要性を述べるとともに、地元医師会などで認定産業医が産業医学専門医と相互交流する大切さを強調している。
 また、「おわりに」では、①新たに発足した全国医師会産業医部会連絡協議会の充実・発展②産業医活動の支援体制強化③事業場紹介体制の強化―に関する具体的な提言を打ち出している。

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