パルサパルシ議長(左)、ステンスミレンWMA会長(右)と
パルサパルシ議長(左)、ステンスミレンWMA会長(右)と
世界医師会(WMA)「医の国際倫理綱領(ICoME)」作業部会及び改訂最終専門家会議が8月10日から12日にかけて、ワシントンD.C.(アメリカ)で開催され、日本医師会から作業部会の構成員として今村英仁常任理事が出席した。
全体の参加者は13カ国(日本、アメリカ、バングラデシュ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、オランダ、スウェーデン、ブラジル、カナダ、オンライン参加:イギリス、クウェート、ナイジェリア)から約50名であった。
ICoMEは1949年に採択され、1968年、1983年、2006年に改訂が行われている。WMAでは、日本医師会を含む作業部会を設置して改訂に向けた議論を重ね、WMAの各地域における会議やパブリックコンサルテーションなどで意見を集め、検討を行ってきた。
改訂最終専門家会議では、ハイジ・ステンスミレンWMA会長、ジェシー・エーレンフェルド アメリカ医師会次期会長並びにスーザン・ベイリーアメリカ医師会前会長が開会あいさつを行った。
議事では、まず、ラミン・パルサパルシ作業部会議長が、改訂のプロセスと現在の草案について概要説明を行い、「ICoMEはWMAの多数の政策文書の中でも、ジュネーブ宣言、ヘルシンキ宣言と共に医の倫理に関する重要な文書であり、各国で医療の状況や法律は異なるものの、普遍的な医師の倫理を包括するものとして議論をまとめていきたい」と改訂の意義を述べた。
続いて、アメリカ医師会倫理・司法協議会メンバーによるパネルディスカッション、アーバン・ヴィージング テュービンゲン大学倫理・医学史研究所長/ICoME作業部会倫理アドバイザー(ドイツ)による講演が行われた。
その後、良心的拒否に関する専門家会議(7月インドネシア)の総括及び、改訂案の項目、「序文」「一般原則」「患者に対する義務」「他の医師及び医療従事者に対する義務」「社会に対する義務」「医療専門家組織のメンバーとしての義務」について、ジェームズ・F・チルドレス バージニア大学倫理学・宗教学名誉教授、ダニエル・サルマシー ケネディ倫理学研究所長、アレックス・ジョン・ロンドン クララ・L カーネギーメロン大学倫理哲学教授及び倫理政策センター所長等専門家による講演を受け、議論が行われた。
12日の作業部会では、改訂最終専門家会議における検討結果を反映した修正内容に合意し、草案はパルサパルシ議長がまとめた上でWMA事務局に提出し、コメントを求めるため各国医師会に回付され、10月のベルリン総会において採択に付されることとなった。
本会議への出席に合わせ、今村常任理事はニューヨークを訪問し、米国日本人医師会の柳澤ロバート貴裕会長(マウントサイナイ・アイカーン医科大学教授)、本間俊一元会長(コロンビア大学循環器内科教授)、加納麻紀副会長(マウントサイナイ病院、東京海上記念診療所)、加納良雄事務局長と懇談を行った。
懇談では、日米両国のCOVID―19状況下における対応や最新の医療現場の状況について意見交換を行うとともに、2018年から日本医師会が寄附を通じて支援している「ニューヨーク野口英世記念奨学金」についても近況報告を受けた。
また、同医師会を母体として発足したニューヨーク野口英世記念会が管理する、ブロンクスウッドローン墓地にある野口英世博士の墓所の墓参を行った。