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令和4年(2022年)9月14日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース

新型コロナウイルス感染症の感染状況を受けて

 松本吉郎会長は9月14日の定例記者会見で、直近において新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数等の減少が見られる中においても、更に次の波や秋・冬のインフルエンザとの同時流行に備えて、オミクロン株の特性に応じた現在の体制を維持・充実させることが重要であると強調。その上で、(1)診療・検査医療機関の拡充、(2)今年10月以降の医療提供体制を支えるための財政支援の継続、(3)オミクロン株対応のワクチン接種、(4)コロナ以外の通常医療を担っている医療機関も含め、物価高騰の影響を受けている医療機関等への臨時交付金による支援―について、日本医師会の見解を述べた。

(1)診療・検査医療機関の拡充
 松本会長は診療・検査医療機関が、9月7日時点で40,185施設となったことに触れ、各医療現場の尽力に謝意を示した上で、診療・検査医療機関の割合や、自治体ホームページでの公表率に地域差が見られる点を指摘。引き続き、診療・検査医療機関の更なる拡充に向けた効力を求めていくとするとともに、「各都道府県でさまざまな事情があると思われるが、各都道府県でそれぞれ公表率を100%に近づけて頂くこと、同時に診療・検査医療機関の業務負担を軽減するため、受診・相談センターを充実させることが、肝要と考えている」と述べた。

 また、都道府県医師会及び郡市区医師会には、土日祝日や連休、年末年始での発熱外来診療体制の強化や、陽性と判定した自宅療養患者への診療、かかりつけの患者以外への対応も重要だとし、9月20日に開催予定の都道府県医師会長会議で改めて都道府県医師会に対し要請するとした。

(2)今年10月以降の医療提供体制を支えるための財政支援の継続
 発熱外来など、新型コロナの医療提供体制の構築については、これまで、診療報酬の特例や緊急包括支援交付金、コロナ患者等入院受入医療機関緊急支援事業などの補助制度が後ろ盾となって進められてきたとした上で、「次の波に備え、現在の体制を維持、充実するには、継続的な財政支援が重要である」と強調。発熱患者の外来診療を250点とするなどの診療・検査医療機関を対象とした診療報酬上の特例的な対応の延長を求めるとともに、患者等入院受入医療機関緊急支援事業についても継続を要望した。

 一方、9月末までとされていた新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(病床確保料、ワクチン接種体制など)については、継続が決まったことから、今後の体制整備の充実に期待を寄せた。

(3)オミクロン株対応のワクチン接種
 9月12日に開催された薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会において、国内での使用が認められたオミクロン株対応のワクチンについては、ファイザー社 製が12歳以上、モデルナ社製が18歳以上で、従来のワクチンを2回以上接種した人が対象であるとし、まずは、4回目接種の対象となっている60歳以上の高齢者や基礎疾患のある人への接種が進められ、高齢者らの接種が進み次第、12歳以上の全国民が対象になることを概説。

 岸田文雄内閣総理大臣が1日100万回を目標に掲げていることに触れ、「感染拡大防止、重症化予防に資することから、希望される方のワクチン接種がより一層促進するよう、全国の医師会、医療機関とともに引き続き接種体制を継続していく」と述べるとともに、接種を受ける人、接種する医療従事者の双方においても、混乱やミスが生じないよう、政府や製薬企業に対して丁寧な案内や情報提供を要請した。

(4)物価高騰により影響を受けている医療機関等への臨時交付金による支援
 この他、9月9日に開催された政府の「物価・賃金・生活総合対策本部」において示された物価高騰に対する追加策等の中で、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の増額・強化として、6,000億円規模の「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」の創設が発表されたことを取り上げ、「これは既に決まっていた予算2,000億円に、新たに予備費4,000億円を積み増したもの。物価高騰への支援については、日本医師会、四病院団体、介護事業者関係団体の合計10団体の連名で、当時の後藤茂之厚生労働大臣を始め、政府・与党に対し、この臨時交付金の積み増しと、医療機関・介護事業所等に対する支援の確実な実施を要望してきた」と説明。

 内閣府より示された「推奨事業メニュー」において、事業者支援の筆頭に医療機関の支援が推奨されていることから、「公定価格で運営する医療機関等に対する物価高騰への支援の重要性をご理解頂けたものと考えている」と評価し、今後、各自治体において、この交付金を活用した事業を立ち上げる際には、医療現場の意見をよく聞き、実効的な支援を実現するよう要望した。

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 会見に同席した釜萢敏常任理事は、従来株とBA.1対応の2価ワクチンであるオミクロン株対応のワクチンについて、この日に開催された厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において、予防接種法に基づく特例臨時接種として了承されたことを報告。本ワクチンは、短い期間である可能性はあるものの、オミクロン株に対する発症予防効果や感染予防効果も期待できるとし、接種の利点と効果を日本医師会としても周知していく姿勢を示した。

 更に、これまでの経験から冬季となる1月以降に感染が拡大する傾向にあるとして、12月までに接種を推進するためには集団接種会場の設置や職域接種なども含めた総力体制で臨む必要があると述べた。日本医師会として接種体制の充実に努める姿勢を示すとともに、「来週からオミクロン株対応ワクチンが全国に配送され、準備が整い次第、接種が始まるが、接種対象となった人には、接種可能なワクチンを速やかに受けて頂きたい」と呼び掛けた。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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