日本医師会定例記者会見 10月12・19日
松本会長は、記者からの質問に答える形で、政府が2024年の秋頃をめどに現在の健康保険証を廃止して、マイナンバーカードに一体化するとの方針を示したことについて、「反対はしていないが、マイナンバーカードの普及率を考えると、2年後に廃止することには懸念がある」との現時点での日本医師会の考えを説明した。
松本会長は、健康保険証を廃止することについて、多くの医師会から懸念の声が寄せられていることを説明するとともに、日本医師会が考える懸念点として、(1)発熱外来を担っている医療機関で動線を分けなければならない医療機関の場合、カードリーダーをどこに置くのか、(2)災害時やシステム障害時に患者にも受付事務にも労力がかかる、(3)在宅医療、訪問看護の場合や柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師等の施設における資格確認が整備されていない―といったことが挙げられると指摘。「これらの課題についても、対応を考えていく必要がある」とした。
その上で、松本会長は、「保険料を払っているにもかかわらず、保険証が廃止されることによって国民の皆さんが適切な時期に適切な状況で医療機関を受診できなくなるようなことはあってはならない」と強調。健康保険証を廃止し、マイナンバーカードに一体化するのであれば、まずは国民に理解してもらえるように丁寧に説明する必要があるとした上で、今後は、必要な対策等について政府と協議していく意向を示した。
その他、松本会長は、来年度から療養担当規則にオンライン資格確認を原則義務化することが明記されることについて、「原則義務化されてしまえば、さまざまな事情でオンライン資格確認に対応できない医療機関が保険診療を行えなくなり、閉院せざるを得なくなる」といった声が多く寄せられているとし、地域医療を守る観点から、厚労省に対し、中医協答申の附帯意見に記載された「やむを得ない場合の必要な対応」の検討を求めていることを明らかにした。