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令和4年(2022年)11月16日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース

新型コロナウイルス感染症の現況について

 松本吉郎会長は11月16日の定例記者会見で、新型コロナウイルス感染症の感染状況及び今後の医療提供体制等について、日本医師会の見解を説明した。

 松本会長は、まず、新型コロナウイルス感染症の感染状況について、国内においてBQ.1系統、BQ.1.1系統やXBB系統等の報告が見受けられ、その感染割合が増加することが見込まれているものの、現時点においては、その系統の感染者数の顕著な増加は確認されていないことを報告。その一方で、11月14日には、長野県で病床利用率が4日連続で50%を上回る56.9%に達し、「医療非常事態宣言」が発出されたことや全国主要都市の救急搬送困難事案では、コロナ疑い患者及びコロナ以外の通常の患者がともに先月末より増加に転じていること等に触れ、年末年始に向けて、今後更に社会経済活動の活発化による接触機会の増加等により、感染状況が悪化する懸念があることから、引き続き基本的な感染対策の徹底と新型コロナ・季節性インフルエンザのワクチン接種をお願いしたいと呼び掛けた。

 日本医師会の対応に関しては、11月15日に開催した都道府県医師会長会議において、ワクチン接種の推進の他、年末年始も含めた発熱外来の拡充や地域医師会による自宅療養体制の充実並びに病床確保とともに、診療・検査医療機関に限らず、季節性インフルエンザ患者への対面診療の実施を要請したことを報告。会見同日に都道府県医師会長、郡市区等医師会長宛てにも改めて、同様の趣旨の通知を発出することを明らかにした。

 その他、松本会長は、全国医学部長病院長会議など病院団体と共に立ち上げたコロナ人材ネットワークによる中等症以上の患者に対応する研修を各大学のご協力の下、これまで4回実施し、25名の医師が受講したことを説明。受講者アンケートでは、「全体を通して中等症以上の患者の治療に役立つ」「これまでのコロナ医療への疑問や不安が解消された」等の回答を得ていることを紹介した上で、感染者数の増加によって、中等症、重症者の増加につながる可能性もあるとして、本研修がコロナ対応の拡充に貢献することに期待感を示した。

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 会見に同席した釜萢敏常任理事は、「新型コロナの感染状況を正確に予測することは極めて困難だ」とした上で、名古屋工業大学の平田晃正教授の研究グ ループによるAIシミュレーションの結果を紹介。東京都の新規感染者数は今週から来週にかけて本格的に増加していくこと、感染のピークを迎える時期は1月中旬という予測が示されているとして、今後の感染予測を踏まえた対策を考えていく必要性を強調。また、その対策のためにもワクチン接種の実施接種率をいかに高めるかが重要になるとするとともに、特に新規感染者が多い若年層のワクチン接種率を高めることが求められるとした。

 更に、釜萢常任理事は、新規感染者数が急増することにより医療提供体制がひっ迫することに強い危機感を示し、その体制の準備に日本医師会としても引き続き全力で取り組んでいくとする一方で、医療資源には限界があると指摘。「現在の感染状況は感染リスクの高い行動を抑えるべきか各自の判断で選択をしていく時期に入っており、改めてワクチン接種を受けることを自身の問題として考えて欲しい」と述べた。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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