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令和4年(2022年)12月20日(火) / 日医ニュース

「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」の骨格案について議論

 社会保障審議会医療部会が11月28日、WEB会議で開催され、角田徹副会長、釜萢敏常任理事が出席した。
 当日は、厚生労働省事務局が、日医総研が実施した「第7回日本の医療に関する調査」の結果を基に、コロナ禍を通じて、かかりつけ医をもつことに肯定的な受け止めが多数となっている状況を説明。その上で、「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」の骨格案(別掲)が示された。
 案では、多様な医療ニーズに対する制度整備として、「かかりつけ医機能報告制度」の創設により機能の充実・強化を図ることを提案。具体的には、医療機関はかかりつけ医機能に関する項目を都道府県に報告するとともに、都道府県はこの報告に基づき、地域における機能の充足状況や、これらの機能を併せもつ医療機関を確認・公表した上で、地域の協議の場で不足する機能を強化する具体的な方策を検討・公表するとした。
 また、それに加えて、医師により継続的な管理が必要と判断される患者に対して、医療機関が書面交付を行い、その旨を説明することで、かかりつけの関係を確認できるようにするとした。
 一方、全ての国民への情報提供としては、「かかりつけ医・医療機関を選ぶための情報が不足している」「かかりつけ医・医療機関を探す方法が分からない」といった指摘を踏まえて、「医療機能情報提供制度」を拡充することを提案。具体的には、「かかりつけ医機能」は現在省令で、「身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談等を行う機能」と定義されているが、医療法に定めるとともに、都道府県は国民・患者による医療機関の適切な選択に資するよう、「かかりつけ医機能」に関する情報を分かりやすく提供するとしている。
 議論の中で、角田副会長は、今回の提案内容はかかりつけ医を登録するということではないことを確認。資料に「協議の場において、地域で不足している機能を充足できるよう、支援や連携の具体的方法を検討」と記されていることに関しては、「不足する医療機能を考える対象範囲は二次医療圏では広すぎる。市区町村内等で考えて、郡市区医師会と協議しながら進めていくべきだ」と主張した。
 また、釜萢常任理事が「1人の患者が1つの医療機関のかかりつけ医しかもてないのではなく、疾病に応じて複数の医療機関との関係が構築できるものとするべき」と述べたことに対しては、厚労省事務局から継続的な医学管理が複数の医療機関で必要な場合には、かかりつけ医は複数になり得るとの考えが示された。
 今後は、医療部会でかかりつけ医機能が発揮される制度整備の基本的な考え方の取りまとめを年内に行った上で、引き続き、具体的な情報提供項目のあり方や情報提供の方法などを検討していくことになっている。

職種ごとの給与費の報告は任意とすべき ―角田副会長

 その他、当日は「医療法人の経営情報のデータベースの在り方に関する検討会」(以下、検討会)が11月9日に報告書を取りまとめたことを踏まえて、厚労省事務局から(1)医療法人の経営情報のデータベースについて必要な法制上の措置を行った上で、令和5年度に可能な範囲で早期に施行する、(2)職種ごとの給与費の報告は検討会の報告書のとおり、あくまで「任意」とする―ことなど、今後の方針について、説明が行われた。
 議論の中では、保険者側の委員から職種別の費用の明示の義務化を求める意見が出されたことに対して、角田副会長は「義務化してしまうと現場に大きな負担が掛かる」とし、「検討会の報告書の判断は重要であり、報告は任意とすべき」と主張した。

骨格案の多くは日本医師会の考えと一致 ―松本会長

 なお、今回示された「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」の骨格案について、松本吉郎会長は11月30日に行われた記者会見の中で、記者からの質問に答える形で日本医師会の考えを説明。「日本医師会の考え方と一致する部分が多い」とした上で、今後の議論に関しては、「以前から主張しているように、かかりつけ医は国民が決めるものである。そのことを考えれば、まずは国民がかかりつけ医を決めるにはどういった仕組みとすれば良いのかという視点に立って議論を進めていくことが大事になる」と指摘した。

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