松本吉郎会長は昨年12月23日に財務省を訪れ、12月16日の3大臣(松野博一内閣官房長官、鈴木俊一財務大臣、加藤勝信厚生労働大臣)合意、同日の大臣折衝の結果などを踏まえて作成された「令和5年度薬価改定の骨子(案)」が、12月21日の中医協総会において了承されたこと(本紙1月5日号既報)等について会談を行った。
冒頭、松本会長は、令和5年度の薬価改定が前回並みの対象範囲となったことや薬価の引き下げ対象範囲に一定の配慮がなされたことについて謝意を示した他、医療DXの推進のためのオンライン資格確認の導入・普及に関する加算並びに、医薬品の安定供給問題を踏まえた診療報酬上の対応を行うための財源を確保してもらったことについても謝辞を述べた。
また、2021年の4月1日より、「外来診療に係る診療報酬上の臨時的取り扱い」が実施されたことにも触れ、「医療提供体制を維持するための大きな力となっており、併せて感謝申し上げたい」とした。
更に、会談では、医療費の適正化を進めるに当たっては、国と日本医師会の協力が不可欠との認識で一致。松本会長は、①医療機関間の連携②機能分担③医師の働き方改革―の推進が必要であるとするとともに、「日本医師会として、医師・診療科の偏在といった問題解消のため、医療DXの推進に全力で取り組んでいく」との意向を表明した。
国に対しては、オンライン資格確認や電子カルテ等の一層の普及のため、導入や更新に係る費用が多額に上ることを改めて説明し、補助などの必要な対応を取ることを要請。これに対して、鈴木財務大臣は一定の理解を示すとともに、「医療DXの推進に何らかのインセンティブが付与されることでその推進が促され、必要以上の検査や重複投薬が減少することを期待している」と述べた。
その他会談では、鈴木財務大臣と松本会長の共通の知己(ちき)であり、逝去から約4年となる石川育成岩手県医師会元会長についても話題に上り、岩手県の地域医療のために尽力した故人の人柄をしのんだ。