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令和5年(2023年)3月5日(日) / 日医ニュース

5類感染症へ円滑に移行するための経過措置を求める共同声明がまとまる

5類感染症へ円滑に移行するための経過措置を求める共同声明がまとまる

5類感染症へ円滑に移行するための経過措置を求める共同声明がまとまる

 政府が新型コロナウイルス感染症の位置付けを本年5月8日より、現在の2類相当から5類に変更する方針を決定したことを受けて、「新型コロナウイルス感染症等に関する全国知事会と日本医師会との意見交換会」が2月8日、WEB会議で開催され、医療費の公費負担や医療機関への財政措置の継続などの経過措置を求める共同声明を取りまとめた。
 冒頭のあいさつで平井伸治全国知事会長(鳥取県知事/新型コロナウイルス緊急対策本部長)は、「オミクロン株に置き換わったことで感染状況や病状が変化しており、その特性に応じた対策に切り替えていくための出口戦略を示すよう政府に求めてきた」と強調。今回の5類への変更を評価した上で、自治体の財政能力に差があることを憂慮(ゆうりょ)し、病床確保や院内感染防御対策等に資する財政措置の堅持が必要であるとした。
 松本吉郎会長は、岸田文雄内閣総理大臣が新型コロナを5類感染症とする方向で検討を進めるよう指示する前日に岸田総理と面会し、感染症法上の類型の見直しは、医療提供体制の状況を慎重に踏まえつつ、段階的な対応を経て、ソフトランディングとなるよう求めたことを説明。
 更に、(1)高額な治療薬も含め、できるだけ患者に負担の掛からない形にすること、(2)類型変更後も、これまでと同様の対応を取らなければならない医療・介護の現場への支援の継続、(3)入院調整において、医療現場と患者に負担が掛からないようにするための行政の支援、(4)感染拡大した場合に備え、臨時の検査センターや医療施設の継続の検討―も要望したとし、「ウィズコロナ時代の医療提供体制を全国知事会と共に築いていきたい」と述べた。

意見交換

 意見交換では、まず、内堀雅雄福島県知事(同本部長代行/同副本部長/社会保障常任委員会委員長)が、共同声明案「新型コロナウイルス感染症の5類感染症への変更について」を読み上げた。
 同案では、①段階的な措置の具体的な内容及び完全移行までのロードマップを早期に示す②入院患者の受け入れ体制が整うまでは、急激に減らすことなく、病床確保料等の支援を継続する③受診控えにつながらないよう、医療費について一定の公費負担を継続する④地方自治体の財政状況によって、医療機関の感染防御対策や病床確保等に支障が生じないよう、現在の財政措置を継続する―ことなど、激変を緩和するための適切な経過措置を求めている。
 茂松茂人副会長は、コロナ禍で7万人もの死者が生じたことは重く受け止めるべきだとし、感染防御対策と共に救急搬送の困難事例を減らす取り組みも重要であると強調。入院調整における行政の力は非常に大きいとして、引き続きの協力を求めた。
 角田徹副会長は、インフルエンザの抗原定性検査の迅速キットの使用状況のデータから、既にコロナ禍以前にインフルエンザに対応していた医療機関はコロナ患者も受け入れているとして、5類になることでそれらの医療機関が更に疲弊することを懸念。
 釜萢敏常任理事は、新たにコロナに対応する医療機関を増やす努力をしていくとする一方、既に外来や入院でコロナ診療に携わっている医療機関が離脱してしまわないよう、各知事に連携を強めることを要請した。
 総括を行った松本会長は、これまでの医療提供体制を崩さないよう、政府に本共同声明を届けるとし、医療現場と行政が連携して医療を守っていくべきだと強調。平井全国知事会長も「これからソフトランディングしていく上で一番重要なのは、最後の砦(とりで)とも言える医療提供体制を確保していくための環境づくりだ」と述べ、健康や命が守られながら移行が進み、経済や社会の活力が回復する道筋を共につくっていきたいとした。

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