松本吉郎会長は3月17日、猪口雄二全日本病院協会長、加納繁照日本医療法人協会長、山崎學日本精神科病院協会長らと共に厚生労働省を訪れ、加藤勝信厚労大臣に「医療機関・介護事業所等における光熱費等の物価高騰に対する支援に関する要望」を手交した。
今回の要望は、光熱費等の物価高騰を受けて、医療機関、介護施設等の経営が厳しくなっていることに鑑みて、その支援を国に求めることを目的として、日本医師会を始め、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、全国老人保健施設協会、全国老人福祉施設協議会、日本認知症グループホーム協会、日本介護支援専門員協会、日本福祉用具供給協会の10団体の会長並びに理事長名で取りまとめられたものである。
要望の中では、「今般の光熱費等を始めとする物価高騰により、国が定める公定価格により経営する医療機関・介護事業所等においては、価格転嫁ができないことから、経営に大きな影響が生じている」「コロナ禍の医療・介護の現場では、特に換気が必要であり、医療用機器にも電力を使用することから、節電には限界がある」「現在の経営環境では、医療従事者等が諸物価の上昇に対応し生活を維持するための処遇改善への対応も困難で、人材の確保にも支障が生じかねない」ことなどを説明。その上で、物価高騰下においても国民に安心・安全で質の高い医療・介護サービスを提供できるよう、医療機関・介護事業所等に行きわたる対策として、上記の2点の実現を強く求めている。
当日の会談の中で松本会長は、「光熱費等を始めとする物価の急激な高騰の影響を受けて、公定価格により経営を行うため、価格に転嫁もできない医療機関等では非常に苦しい経営状況になっている」として、国からの支援を強く要望。
他の団体からも、医療機関、介護施設の窮状を訴える意見が相次いで出された。
これに対して、加藤厚労大臣は「医療機関、介護施設が厳しい経営状況となっていることは十分に理解している」と述べた上で、その対策として、地域創生臨時交付金の増額などを検討していることを説明。「その増額分を皆さんのところにどうすれば届けることができるのか、その方法を検討していきたい」とした。
なお、加藤厚労大臣への要望提出に先立ち、松本会長は萩生田光一自民党政務調査会長、高木陽介公明党政務調査会長、田村憲久自民党社会保障制度調査会長、三ッ林裕巳衆議院厚生労働委員長、田畑裕明自民党厚生労働部会長、橋本岳自民党社会保障制度調査会事務局長ら与党の関係議員に対して今回の要望を直接手交し、理解を求める活動を展開。
自民党が3月15日に岸田文雄内閣総理大臣に提出した「エネルギー・食料品価格高騰等への追加対策に向けた提言」の中に、医療・介護施設等を始め、負担軽減策がきめ細かく行きわたるよう十分留意する旨が明記されるとともに、3月22日に開かれた政府「物価・賃金・生活総合対策本部」において、地方創生臨時交付金による追加支援7000億円が決定し、事業者支援の推奨事業メニューの筆頭に、「医療機関等への支援」が盛り込まれた。
具体的な要望事項
(1)医療機関・介護事業所等が光熱費を含む医療と介護の提供に必要なコストの上昇に対応できるよう、必要な財政措置を予備費の活用を含め早急に講じること(2)医療機関・介護事業所等が医療・介護従事者に対して物価高騰下においても適切に処遇を改善できるよう、必要な財政措置を予備費の活用を含め早急に講じること |