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令和5年(2023年)6月20日(火) / 日医ニュース

「医師の働き方改革に寄与する男女共同参画を目指して」をテーマに開催

「医師の働き方改革に寄与する男女共同参画を目指して」をテーマに開催

「医師の働き方改革に寄与する男女共同参画を目指して」をテーマに開催

 第17回男女共同参画フォーラムが、「医師の働き方改革に寄与する男女共同参画を目指して」をテーマに、5月27日、三重県四日市市内で開催され、日本医師会からは松本吉郎会長を始め、角田徹副会長、渡辺弘司・神村裕子・細川秀一各常任理事が出席した。対面での開催は4年ぶりとなった。
 当日は、基調講演、報告(2題)、シンポジウム、総合討論などが行われ、医師の働き方改革への取り組みや男女共同参画のための支援の具体例などが紹介された。
 フォーラムは、馬岡晋三重県医師会副会長による開会宣言で幕を開け、松本会長と二井栄三重県医師会長、来賓の一見勝之三重県知事(代理:服部浩三重県副知事)、森智広四日市市長があいさつした。
 松本会長は、まず、2024年から医師に対する時間外・休日労働の上限規制が適用されることについて、医療機関勤務環境評価センターの受審など、早めの準備を要請。「医師の働き方改革を進めるに当たっては、医師の健康等を確保する一方で地域医療に支障を来さないことが求められている。医療従事者として医療の質は絶対に落とすことはできない」と述べた。
 次に、男女共同参画については、人材の掘り起こしだけを目指すものではなく、男女が共同することでそれぞれが望む形を実現する、人権に関わる問題であると指摘。「働き方改革は、全ての医師が人間らしく生活するための制度であるという意味では、固定的性別役割分担意識が根強いわが国において、男女共同参画の推進を後押しする上でも絶好のチャンスになる」と述べた。

基調講演

 基調講演では、浅田剛夫井村屋グループ株式会社取締役取締役会議長が、男女共同参画について、企業は女性の力を活用すること無しに継続していくことはできないと強調。商品開発部は女性が過半数を占めている他、主力商品の工場長も女性が務めるなど、女性の活躍がグループ発展の礎となっており、社員を"素直に率直に正確に"評価したことが現在の状況につながっているとした。
 また、同グループでは"人材の人財化"を進めているが、その際のポイントとして、個々人それぞれの差異を認めて話し合いながら協働性を創造することなどを挙げるとともに、「評価と平等、機能の活用のバランスも重要になる」と述べた。

報告

 報告では、小泉ひろみ日本医師会男女共同参画委員会委員長(秋田県医師会長)が、同委員会の取り組みについて解説。前期諮問への答申内容や、委員会が行っている調査について紹介した上で、これまでに提案した「都道府県医師会の女性役員比率」「日本医師会代議員における女性比率」等に関する数値目標は未達の状況であるものの、医療界の男女共同参画の実現及び安心・安全な医療の提供に、引き続き取り組んでいく姿勢を示した。
 神村常任理事は、17年目を迎えた日本医師会女性医師バンクについて、登録から成立まで利用料が無料であることや、年齢・性別を問わず全ての医師が利用可能であるなどの特徴を説明。また、女性医師支援センターでは、再就業支援として動画やハンドブック等の教材などを作成しているとし、医師の働き方改革に向けた動画「輝け女性医師! みんなでつくる『働き方改革』」を紹介して、その活用を呼び掛けた。

シンポジウム

 続いて行われたシンポジウムでは、新保秀人三重県立総合医療センター院長が、同センターの働き方改革について説明。働き方改革の目標が"職員が働き続けたくなる病院づくり"であることを紹介し、取り組む中で抽出された問題点や具体的対策を示した他、三重県認証「女性が働きやすい医療機関」認証制度の受審にも継続して取り組んでいるとした。
 入山紀美子医師(亀山医師会豊田クリニック)は、わが国の女性医師率の低さなどに問題意識を示し、戦後の歴史的経緯等の要因はあるものの、現在の若い世代のマインドは変化してきているとして、今後医師の女性比率を上げていく必要性を強く主張した。
 医学部の同級生夫婦である杉本昌彦山形大学医学部眼科学講座教授と杉本由香三重大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科学准教授は、医師の働き方改革と男女共同参画について、男性医師(夫・父)、女性医師(妻・母)の立場からそれぞれ説明。昌彦教授は、子育て世代への配慮などで時短勤務等を行う場合、代わりに業務を請け負う人への配慮が必須とした上で、女性のみではなく、全体を俯瞰(ふかん)したアシストが必要とした。
 由香准教授は、女性医師の働き方について、育児や介護中にどのようにキャリアを形成していくかが課題とした上で、ハード面の整備やサポート体制の構築の他、医師でなければできない仕事以外はタスクシフトなどを行いながら、勤務時間が短くてもキャリア形成ができるような環境づくりを求めた。
 金田倫子三重大学医学部附属病院産婦人科助教は、産婦人科を中心に女性医師の現状及び三重大学病院産婦人科の取り組みを紹介。女性医師のワークライフバランスには、①人員確保(必須)②働きやすい環境づくり③個々の意見、多様性の尊重④仕事での充実感、やりがいの重視⑤キャリア形成ができる環境づくり―が求められるとした。

総合討論

 総合討論では、職場での仕事の調整に対する考え方や責任者のリーダーシップの重要性、地域の医療機能の集約化に関する質問等について、シンポジストが回答した。
 コメンテーターとして参加した角田副会長は、「日本医師会として、働き方改革と地域医療の質の担保、どちらも両立させなければならないと考えている」と述べ、意見等があれば日本医師会に届けて欲しいと呼び掛けた。
 最後に、次期担当県である香川県医師会の久米川啓会長があいさつし、田中孝幸三重県医師会副会長が閉会の辞を述べた。
 なお、次回フォーラムは令和6年4月27日に高松市内で行われることになっている。

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