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令和5年(2023年)9月20日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース

診療所の新興感染症対策

 松本吉郎会長は9月20日に記者会見を行い、2024年4月1日に改正感染症法が施行されるとともに、新興感染症対策を「5疾病5事業」の6番目の事業とする第8次医療計画が開始されることを見据えて、日本医師会としても積極的に診療所による新興感染症対策を支援していく意向を示した。

 松本会長は、まず、「改正感染症法による、医療措置協定を中心とする感染症の医療提供体制と医療計画の新興感染症対策は一体となっている」とした上で、医療措置協定の考え方については、コロナ対応をベースにしており、1.新興感染症発生初期は、従来の特定・第一種・第二種の感染症指定医療機関が対応2.次いで、特別な協定を締結した流行初期対応を担う医療機関が加わって対応3.新興感染症発生の公表から3カ月後、通常の協定を締結した医療機関が公立・公的医療機関等を中心に参画4.公表から6カ月後をめどに、一般の協定締結医療機関が多数加わり対応―とされていることを説明。「一般の医療機関が多数参加する段階では、各地で感染症がまん延し、多くの方々が不安を抱いている状況が想定される一方で、感染防御や検査方法の研究開発が進展し、PPE(個人防護具)が一定数供給されていることが期待されることから、その時のウイルスの性状や強毒性にもよるが感染拡大に対して、地域の診療所の努力により、各地で多数の患者を診察する体制を築くことは可能」との考えを示した。

 更に、「診療所は、超高齢社会にあって、重症化リスクを抱え、継続的な医療が必要な患者を守る責務があるが、建物の構造上、ゾーニングができない場合には、通常医療を分担したり、地域医師会が行う臨時の発熱外来に参画したりする」と述べるとともに、多くの診療所では、保健所等の行う感染症の発生状況・動向の把握調査にも協力することができることを説明した。

 更に、松本会長は、国際的な比較から、日本がコロナによる人口当たり死亡者数や陽性者の致死率の低さなど、相当の医療実績を積み上げてきたことにも触れ、「全国の診療所の医師が懸命に対応し、平時から地域に根差して住民の健康を守り、かかりつけ医としてご尽力されてきたことの表れでもあると言える」として、診療所の果たした役割の重要性を強調。

 その上で、「日本医師会は、次のパンデミックに向けて、全国の都道府県医師会、郡市区医師会の協力の下、協定締結医療機関か否かを問わず、平時では地域医療の第一線を担い、有事でも相応の役割を果たしている診療所の新興感染症に対する総合力を更に高めていく」と述べ、その対応策として、診療所の医師や医療従事者を主な対象とした研修を企画していることを明らかにした。

 具体的には本年7月30日に実施したJMATの感染対策研修を基にプログラムを検討し、全国モデルとする方向であり、都道府県医師会・郡市区医師会に対して、eラーニングのシステム及び教材等のコンテンツの提供やマネキンなどの研修機材の貸出も行う予定であることを報告した。

 松本会長は、また、新興感染症対策は医療措置協定だけで捉えるべきではないと指摘し、地域の診療所や病院が新興感染症対策に力を注げる環境づくりも大切だとして、1.国に対しては、平時の備えとともに、有事には内閣感染症危機管理統括庁や日本版CDCである「国立健康危機管理研究機構」から最新の情報を現場に迅速かつ的確に提供する2.PPEや検査キット、治療薬、ワクチンが十分に供給するされる―ことを求めた他、医療従事者に対する風評被害、差別的な取り扱いの防止策の徹底も併せて要請していく考えを示した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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