

高市内閣が10月21日に発足したことを受け、松本吉郎会長は10月27日、城守国斗常任理事と共に厚生労働省を訪れ、上野賢一郎厚労大臣に大臣就任への祝意を伝えるとともに、賃金・物価上昇等を踏まえ、今年度中に医療機関等に対して補助金・診療報酬両面から機動的に対応するよう求める要望書を提出した。
要望書には、(1)公定価格で運営されている医療機関等において、経営の安定、離職防止、人材確保が図れるよう、賃上げが可能となる環境を整える、(2)速やかに令和7年度補正予算を編成し、医療機関への財政支援を行う、(3)令和8年度予算編成における次期診療報酬改定について、賃金上昇と物価高騰、医療の技術革新に対応した大幅なプラス改定とする、(4)令和7年度補正予算、令和8年度診療報酬改定のいずれも「真水」によって対応を行う、(5)OTC類似薬の保険給付の見直しは、安全性、有効性、経済性の面で国民にとって負担や不利益が大きいことから反対であり、検討を行う際には慎重に行う―ことが盛り込まれている。
松本会長は、病院は7割が赤字であり、診療所は医業利益の赤字割合が45・2%、経常利益の赤字割合が39・2%にも上っている状況などを説明。「医療機関の経営状況は本当に厳しい」と訴えた。城守常任理事も「財務省はまだ医療機関には余裕があると言うが、実情は全くそうではない」と強調した。
また、松本会長は令和8年度診療報酬改定において、賃金上昇・物価高騰にしっかりと対応するため、①2年目は医療経済実態調査から3年間ずれることから、賃金・物価が大きく上昇した場合には、それに応じて適切に対応する新たな仕組みの導入の検討を明確化する(次の改定までの2年間をしっかりと見越した改定水準)②2年目の分は賃金・物価それぞれ基本診療料を中心に機動的に上乗せする新たな仕組みを導入し明確化する(2年目の分を確実に2年目に上乗せする改定)―の2案を提示。
その上で、「医療の高度化」「高齢化」「過年度の対応不足分」などにもしっかりと対応する必要性を強調した。
OTC類似薬にも言及し、保険適用から除外することに反対する姿勢を強調。その問題点として、①自己負担の経済的増加②医療機関の受診遅延による健康被害③薬の乱用や不適切使用―を挙げた。特に①に関しては、OTC類似薬が保険から外れると広告費などが上乗せされたOTC医薬品を購入することになり、自己負担が何倍にもなる点などを説明し、「保険から外すことは最悪の選択だ」と訴えた。
会談の最後には、松本会長が「何とか医療機関を守って欲しい」との切実な思いを伝え、上野厚労大臣は「頑張ります」と力強く応じた。



