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令和5年(2023年)10月5日(木) / 日医ニュース

特別支援学校の「子どものための指定福祉避難所」施設整備と指定・公示促進に関する要望書を提出

左から自見、中野、加藤、米山、渡辺の各氏左から自見、中野、加藤、米山、渡辺の各氏

左から自見、中野、加藤、米山、渡辺の各氏左から自見、中野、加藤、米山、渡辺の各氏

 渡辺弘司常任理事は、加藤光広日本小児神経学会理事長と米山明全国心身障害児福祉財団理事と共に、関東大震災発災から100年目に当たる9月1日の「防災の日」に内閣府を訪問し、中野英幸内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官(当時)と自見はなここども家庭庁大臣政務官兼内閣府大臣政務官(当時)に「特別支援学校の『子どものための指定福祉避難所』施設整備と指定・公示促進に関する要望書」を手交した上で、会談を行った。
 今回の要望書は、災害時でも障害のある子ども達が安全・安心に過ごせるように、特別支援学校を、通学児童生徒を優先した「子どものための指定福祉避難所」として利用できるように施設整備等を求めるものとなっており、日本小児神経学会からの要望書として、日本医師会を始めとする24の医療関連団体と、40の賛同する患者・家族関連団体が名を連ねる形で提出された。
 具体的には、(1)特別支援学校を、普段通学する障害がある子どもと家族を優先した福祉避難所として可能な限り指定(「子どものための指定福祉避難所」)し、公示することを促進、(2)「子どものための指定福祉避難所」に、発災後直接避難ができるように災害派遣福祉チームや生活相談員、災害支援ナースなどの支援人材確保と自家発電、冷暖房設備、物資の保管スペース、備蓄品などの施設整備を充実、(3)特別支援学校に在籍していない障害のある子ども達の避難が円滑に進むよう別途配慮―することの3項目の実現を求めている。
 会談では、加藤日本小児神経学会理事長が、熊本地震の際に特別支援学校が福祉避難所の機能を果たせなかったことや、障害特性により慣れない場所で騒いでしまう児童がいること、また医療的ケア児に必要な電源確保の問題などから一般避難所の利用が制限されてしまうことを説明。更に、市町村立の小・中学校のほとんどは一般避難所として指定を受けている一方で、特別支援学校・高校の多くは県立のために避難所指定率が低いことにも触れ、特別支援学校を福祉避難所とすることへの支援と協力を要望した。
 米山全国心身障害児福祉財団理事は、日本小児神経学会の行ったアンケート調査の結果を基に、障害のある子どもは一般避難所の利用が難しく、慣れている場を用意するとともに、避難時に特別支援学校と連携が取れるようにすることの重要性を強調。
 渡辺常任理事は、「特別支援学校は各々専門性や立地条件も異なり、均一には考えられないものの、障害のある子ども達にとって避難場所が明確になることは大きな意味がある」として、今回の要望の実現に向けて日本医師会としてもできる限りの支援をしていく意向を伝えた。
 要望を受けた中野政務官は、通い慣れた学校を福祉避難所とすることの必要性に理解を示し、「そのためには、国、都道府県、市町村が連携して進めていかなければならない」とした上で、各市町村には『福祉避難所の確保・運営ガイドライン』の活用とともに、福祉避難所を作ることをお願いするなど、内閣府防災担当としても取り組みを進めていることを報告する一方で、災害が起こり得る場所に特別支援学校がある場合などには福祉避難所にできないこともあることに理解を求めた。
 自見政務官は、まず、国民の防災意識が高まっている「防災の日」に、障害のある子ども達のための啓発活動をされていることは大変意義深いとし、感謝の意を示した。その上で、こども家庭庁としても日頃から医療的ケア児、発達障害などさまざまな障害のある子ども達へのケアが行き届くことを目指しており、特に災害時の対応については、関係省庁や中野政務官とも連携し、積極的に取り組んでいくとの考えを示した。
 なお、同日、渡辺常任理事らは、永岡桂子文部科学大臣(当時)(代理:藤江陽子文科省文部科学審議官)に同様の要望書を提出した後、東日本大震災を経験した医療的ケア児者とその家族らが加わり、文科省において記者会見を行い、要望書の内容について説明を行った。

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