閉じる

令和5年(2023年)12月20日(水) / 南から北から / 日医ニュース

フィットボクシング

 私は今、花粉症シーズン真っ只中でこの原稿を書いています。
 今年は異常とも思えるレベルの花粉が飛んでいるようで、当院(耳鼻科)に来院される患者様の苦悩に満ちた表情と、長く伸びた行列を必死で誘導しているスタッフの疲労を隠せない後ろ姿を見ながら、申し訳ない気持ちになりつつも、私は私でマスクの中の垂れた鼻水がバレないように、普段より気を遣って診療している毎日です。
 ここ数年コロナ禍によって外出が制限されていましたが、今は花粉を避けるため私の外出制限は更に延長しています。趣味として月1でラウンドしていたゴルフは、今やスマホゲームの中に戦場を移し、パーを取るのは当たり前、バーディやイーグルすら驚かなくなってしまいました。それでも心が満たされないのは、「いつもゲームばかりして、親として示しがつかんわ!」と妻に怒られてばかりいるせいではないと思います。
 ベルトの穴の1番端を使うようになってしばらく経った頃、ニンテンドースイッチのフィットボクシングというゲームソフトを買いました。これは実際にコントローラーを両手に持って体を動かすことで、手軽にボクササイズができるものです。テレビ画面には、我々アラフィフ世代の誰もが憧れた、あの世紀末の乱世を戦い抜いた北斗神拳の伝承者、ケンシロウが立っています。こわもての顔に似合わず気さくにパンチの出し方を指導してくれます。更に「ナイスパンチ!」や「完璧!」などとおだてるものですから、ついにボクシングの才能が開花したのではといい気になっておりました。週末ごとにいそいそと短パンにはき替え、ジャブやストレート、フックをリズム良く繰り出しては、現れてくるモヒカンの荒くれ者達を倒していると、久しぶりに汗を流す喜びを思い出したのでした。あぁやはり人間には精神衛生において適度な運動が重要なのだ、面倒臭がってはいけないのだ、と改めて自覚したところです。
 先日、ケンシロウに久しぶりだなと言われながらも気にせずに短パン姿で戦っていたのですが、勢いよくアッパーを出したところ、モヒカンではなく私の右脇腹が悲鳴を上げました。幸いにも約1週間で疼痛は消失したのですが、大事を取って療養期間を長めに取っているため私の世紀末覇者への道は遠のくばかりです。

(一部省略)

滋賀県 滋賀県医師会報 第902号より

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる